ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『新宿警察』#09

2020-05-25 20:20:53 | 刑事ドラマ'70年代









 
前回は比較的軽めのエピソードを取り上げましたが、今回のはちょっとヘビーです。基本的に『新宿警察』はヘビーな番組なんです。

ただし、ヘビーなんだけど湿っぽくならないのも『新宿警察』の特長で、私はそこが気に入りました。特に『刑事コロンボ』の初代声優さんとしても知られる、小池朝雄さんの乾いた個性、抑えた芝居が醸し出すリアリズムが素晴らしい!

まさに和製ピーター・フォークここにありで、小池さんのことをよく知らない方は、コロンボ刑事と置き換えて読んで頂いても全然オッケーかと思います。


☆第9話『新宿はやり唄』

(1975年オンエア/脚本=尾中洋一&真田喜助/監督=齋藤武市)

仙田主任(小池朝雄)が帰宅途中、若い女性(吉野あい)が車に跳ねられる現場に遭遇します。見ず知らずの子供が道路に飛び出し、誰もが咄嗟に動けない中、彼女だけが夢中で助けようとして代わりに跳ねられたのでした。

仙田主任は女性の勇気に感嘆すると同時に、彼女の顔に見覚えがあるせいもあり、病院まで付き添うことにします。

奇跡的に女性は軽傷で済みました。が、医者は彼女の腕に日常的な注射痕があり、麻薬中毒者である可能性が高いなんて言うから主任は戸惑います。しかも、ちょっと眼を離したスキに彼女は病室を脱け出し、姿をくらませてしまった!

仕方なく自宅へ戻る道すがら、無意識に口ずさんだ『東京流れ者』という歌謡曲に、仙田主任はハッとします。そう、彼女はかつてその曲を唄ったプロの歌手=松井信子なのでした。

そして後日、風俗営業法違反で結城刑事(藤 竜也)が署に引っ張って来たストリップダンサーが、松井信子その人だったからまた主任が驚いた!

信子はストリップ劇場に歌手として雇われてたんだけど、恋人でもあるマネージャーの清(林ゆたか)にどうしてもと頼まれ、仮面で顔を隠すことを条件に渋々ストリップの舞台に出てみたら、運悪く結城たちのガサ入れを食らってしまった。

幸か不幸か、刑事たちは彼女が松井信子であることに誰も気づいておらず、仙田主任は自ら取り調べを引き受け、あのコロンボ刑事の声で穏やかに語りかけます。

「あたしゃ音楽のことはよく解らんが……でもありゃあ、いい歌だった」

「……私のは流行らなかったんです。ヒットしたのは他の人が唄ったレコードで」

『東京流れ者』は実際、1965年に竹越ひろ子さん、そして渡哲也さんが競作でレコードを出した曲で、おそらく「松井信子」は竹越さんをイメージして創られたキャラクターなんでしょう。

「しかしあたしゃ、キミの『東京流れ者』の方が好きだなあ。歌は他の人の方が上手いのかも知れないがねえ、けどどっか違うんだなあ、なんだかピンとこない。少なくともキミの歌には、あたしの心を打つ力があった」

「…………」

「いや、お世辞じゃないんだよ? これでも長年、商売柄いろんな下積みの人生を見て来てるからねえ。ホンモノとニセモノは見抜ける」

「…………」

「でも、こんな事してたらもう、あんな歌も唄えなくなるだろう? 唄うから『松井信子』なんだろ、キミは?」

ここで信子が泣き崩れるんだけど、それより先に私が泣き崩れてしまいましたw たぶん、かつてプロのクリエイターになって売れずに終わった自分自身を重ねたからだけど、小池朝雄さんの温かい語り口に因るところも大きいと思います。

これ、たぶん他の刑事が同じこと言っても、私を泣かせるまではいかなかったと思います。たとえ『太陽にほえろ!』の山さん(露口 茂)や長さん(下川辰平)であっても。とうてい聖人君子には見えない小池朝雄さんが言うからこそ泣けるんですw

「もしクスリをやってるんだったら、ありゃやめた方がいい、地獄だ! そっちの方じゃ大目に見られなくなるからね」

そう言って主任は、せっかく部下が苦労して挙げた容疑者を、勝手に釈放しちゃいます。それどころか、テレビ局のプロデューサーをやってる旧友に電話をかけ、信子のメジャー復帰への道を探り始める熱の入れよう。

そして後日、レストランに呼び出された信子は、以前よりも血色が良くなった顔を見せて主任を喜ばせます。あれから彼女は、自分で自分の身体を縛って死に物狂いで禁断症状と闘い、みごとヤク抜きを果たしたのでした。

「あの時、あんな風にわたしの歌、褒めてもらって……とっても嬉しかったし、どんなに感謝しても……でも私、誰からクスリ貰ったかなんて言えないし……刑事さんの力になれないから……ごめんなさい」

「いや、今日はクスリのことであなたを呼んだんじゃないんだ」

主任は、人気歌番組のディレクターが信子をオーディションしてもいいと言ってくれた事実を、彼女に伝えます。

「いや、あたしのような門外漢が何も出来やしないし、あなたのマネージャーだってそんな事くらい一生懸命働きかけているんだろうけども……」

実はその頃、マネージャーの清は新人の女性歌手と密かにチョメチョメしてるんだけど、信子はその事実を知りません。

「あなたの『東京流れ者』や、新しい歌がまたテレビで観られたら、そりゃあたしも嬉しいからね」

ここで信子がまた涙を流すんだけど、それより先に私の涙腺が爆発してましたw なんでこんなに泣けるんだろう? ホントにたまりません。

「明日……明日またここで会って下さい。私、オーディション受けてみます。頑張ります!」

再起を誓った信子は、その足でマネージャーの清に会いに行きます。部屋の奥に新人歌手の女が隠れてることも知らずに……

「出直す? 歌でか? ダメだね」

「ううん、ひょっとしたら夢が叶うわ。いえ、叶えてみせる! 今まで私たちをバカにしてた人を見返してやりましょうよ、二人の力で。ね?」

「……だったらさあ、1つ頼みがあるんだけどな」

ベッドで信子とチョメチョメしながら、さて清は何を頼んだのか?

一方、仙田主任は根来刑事(北大路欣也)の妹=戸志子(多岐川裕美)に頼んで、信子がオーディション用に着る服を一緒に選んでもらいます。

「でも、おかしいわ。仙田さんのお嬢さん、高校生じゃない。25歳の女の子って、だあれ?」

「いや、それはその……」

主任がポッと顔を紅くしちゃう、このほのぼのとした展開、ヤバいです。悲劇の予感がします。

そう、1万円をはたいて買った洋服の包みを抱え、ストリップ劇場へ信子を迎えに行った主任が目撃したのは、ヌードステージの途中で仮面を剥がされ、見世物にされた彼女の惨めな姿でした。

「覚えてますか? この人は昔『東京流れ者』という曲でレコードを出した、松井信子です。歌手からヌードへ華麗なる転身です!」

司会者はそう紹介するんだけど、激しく動揺した様子の信子は、全裸のままステージの袖へと逃げ去ります。彼女はどうやら、清に「もう1回だけステージで脱いで欲しい」と頼まれ、再デビューの資金稼ぎのために引き受けたんだけど、顔を晒されるとは聞いてなかった。

すぐに清の部屋へ駆け込んだ信子は、どう見ても彼とチョメチョメした直後の、若い新人歌手と鉢合わせします。

「あんたが松井信子さん? どうもありがと。あなたが出して下さるんですってね、私のレッスン料」

信子がステージで顔を晒せば、普段の10倍のギャラが出る予定だった。それを清は…… そもそも信子に麻薬を教えたのも清。全てはこの最低ちんぽこゲス野郎が元凶なんです。いや、彼もかつては本気で信子を愛してたのかも知れないけど……

「私、聞いちゃったわ。あなたのあの時の、あの声。元歌手にしては、随分とお粗末ね」

あの声ってのは言うまでもなく、ベッドにおける信子の喘ぎ声。もう、充分でしょう。信子に果物ナイフを握らせるための条件は、全て出揃いました。

一足遅く仙田主任が駆けつけた時、果たして3人がどうなってたか、もはや書くまでもありません。

そこで呆然と立ち尽くす主任の耳に、鳴りっぱなしのラジオから「競作であまり売れなかった方の『東京流れ者』」が聴こえて来るのでした。

数日後、仙田主任は根来刑事から食事に誘われます。彼の妹=戸志子が、なにも知らずに「おいらくの恋のラブストーリーが聞きたい」とせがんだからです。

「なまじな仏心なんか持っちゃいかん。あたしが殺したようなもんだ。可哀想なことした……」

そうして全てのいきさつを聞いた戸志子が、ここで湿っぽくなるのかと思いきや、あっけらかんと言うんですよね。

「ねえ仙田さん。デートして下さいません?」

「ええ?」

そんなワケで、食事の会計を全て根来に押しつけた戸志子と主任が、楽しそうに腕を組んで夜の新宿を歩く、なんともシュールなラストカット。

この乾きっぷりがたまりませんw これぞハードボイルド!……なのかな?w そもそもハードボイルドという言葉の意味を、私はよく知らないまま使ってますm(__)m

普通なら、視聴者を泣かせるために登場人物はもっとメソメソするだろうし、いかにも悲しいBGMで盛り上げようとするもんだけど、この番組は一切しない。そこがカッコいいし、かえって余韻が残って胸に刻まれます。いやホント、私は痺れました。最高!

自分は決して悲劇が見たくないワケじゃない。ただ、やたらジメジメ・メソメソする下世話な演出が嫌いなだけなんです。それを再認識させてくれました。こんなに素直に泣けたのは久しぶりです。

それに加えて、小池朝雄さんの名演ですよ。『刑事コロンボ』をわざわざ字幕(つまり原語音声)で観たい、なんて言う人はいないですよね? 試しに観てみたとしても、ほぼ100%の人が吹替え音声にすぐ戻しちゃう事でしょう。

その理由を「吹替えの方が解り易いから」なんて言う人もいない筈です。ピーター・フォークご本人よりも、小池朝雄さんの声によるコロンボの方が、明らかに魅力的だからです。ハマってるハマってないの問題じゃない。

つまりアメリカ本国で観る『刑事コロンボ』よりも、日本のテレビやDVDで観る『刑事コロンボ』の方が面白い!

これは凄いことです。ジャッキー・チェン=石丸博也さんやクリント・イーストウッド=山田康雄さんも凄いけど、小池朝雄さんには及ばないと私は思います。本当に素晴らしい!

信子に扮した吉野あいさんは'70年代に活躍された日活ロマンポルノの女優さんだけど、20本以上出演しながら主演作に恵まれず、ファンクラブ「吉野あいを主演させる会」が結成されたほど、不思議な魅力で人気のある方でした。

今回はなにしろストリップ劇場が舞台ですから、吉野さんはもちろん、同じ日活ポルノの丘奈保美さん等もヌード、濡れ場、天狗ショーまで披露されており、当時としても放送コードぎりぎりの内容だったそうです。素晴らしい!w
 

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『新宿警察』#04

2020-05-24 21:37:44 | 刑事ドラマ'70年代










 
☆第4話『銀行ギャング 我が夢』

(1975年オンエア/脚本=池田一朗/監督=江崎実生)

この番組はDVDにもWikipediaにも各話の放映日が記載されてないんだけど、スタート日が9/6なので順当なら9/27の放映という事になります。フジテレビ系列、毎週土曜夜10時枠(全26話)のフィルム作品でした。

以前ご紹介した通り、新宿角筈署の捜査課に勤める仙田班の刑事たちの活躍が描かれ、演じるのは北大路欣也、藤竜也、財津一郎、三島史郎、司千四郎、花沢徳衛、そして小池朝雄という非常に渋いメンツ。

内容も渋く、リアリティー重視でヘビーな話が多いんだけど、この第4話は財津一郎さん扮する「山さん」こと山辺刑事が主役ということで比較的にタッチが軽く、だからレビューする気になりました。

山辺刑事に恨みを持つスナックのバーテン=ヒロシ(三ツ木清隆)が、兄貴分のマサヒコ(小林稔侍)&その恋人のセツコ(関根世津子)と3人で結託し、巧妙に罠を仕掛けて山辺の警察手帳を盗みます。

その目的は山辺への仕返しと、ニセ刑事を名乗って信用金庫から大金を奪い、アメリカへ渡ってそれぞれの夢を叶えること。良くも悪くも(いや、良くはないんだけど)当時はそういう無謀な夢を持つ若者が沢山いました。部屋にこもってYouTuberやゲームプレーヤーのプロを目指す現代っ子たちと、果たしてどっちが人間らしいのか?

それはともかく、警察手帳の紛失が表沙汰になれば懲戒→格下げは免れず、子沢山で生活苦にあえぐ山辺は、なんとか秘密裏に手帳を取り戻したいと根来刑事(北大路欣也)に泣きつきます。

で、困った根来は仙田主任(小池朝雄)に泣きつく。これまた困った主任は、山辺と根来に3日間の休暇を与え、その間に手帳を取り戻せなければ紛失届けを提出するよう指示します。もしその前に手帳が悪用されて事件が起きれば、3人とも格下げはおろか左遷も必至。これはなかなか危険な賭けです。

ヒロシたちはまず、ガサ入れを装って暴力団の闇賭博場に踏み込み、現金と拳銃を押収します。ヤクザたちが被害届を出すワケにいかないから、これは事件にならずに済んだけど、その拳銃を使って3人が信用金庫を襲ったら一巻の終わり。

事情を察した結城刑事(藤 竜也)らの協力もあって、主犯がヒロシであることを突き止めた根来は、スナックで同僚だったホステス(宮井えりな)から有力な情報を聞き出します。

「あの子の夢は銀行強盗だって。いつも寮の前の信用金庫を見つめてた。あの子、カッペ(田舎者)だから本当にやっちゃうかも」

地方出身者だから強盗を犯すなんて、そんなムチャな理屈があるかいな?と思いきや、福岡出身の山辺刑事はこう言います。

「わしもカッペだからカッペの気持ちはよく解る。ヤツは必ずその信用金庫を襲う!」w

かくしてタイムリミットが迫る中、そのカッペの法則に全てを賭けた山辺と根来は、信用金庫を徹底的に張り込みます。

そんな偏見と差別に基づいた推理が当たっちゃうとマズイのでは?っていう、我々の心配などどこ吹く風で、ヒロシたちはまんまとその信用金庫に現れるのでしたw

「山辺刑事」を装ったマサヒコが「爆破予告があったから」と店を閉めさせ、いよいよ拳銃を抜こうとしたその時、ホンモノの山辺と根来が登場し、銃を持つマサヒコの手を陰で押さえながら銀行員たちにこう言います。

「爆弾の件はイタズラと判りました。お騒がせして申し訳ありませんでした」

えっ、そうなの?と呆気に取られる銀行員たちを尻目に、山辺と根来はマサヒコと肩を組んで店を出ていきます。

そして表で待機してたヒロシも取り押さえた山辺は、一緒にいたセツコに唾をかけられます。

「せっかくうまくいきそうだったのに! 死んじゃえばいいのよアンタなんかっ!!」

「うちの母ちゃんもよくそう言うよ」

平然と2人に手錠を掛けようとする山辺に、マサヒコから押収した手帳を差し出して、根来が言います。

「山さん、困るな。警察手帳なしで逮捕しちゃ」

その手帳に貼られたマサヒコの顔写真を忌々しそうに剥がす山辺だけど、なぜか捨てないで自分のポケットに入れます。

「山さん?」

「母ちゃんに土産だ。こんな苦み走ったいい男に変身してたってな」

かくして山辺刑事は、警察手帳を盗まれるという一大不祥事を、みごと隠蔽してみせたのでした。

しかしヒロシたちが犯した拳銃強奪や銀行強盗未遂を事件化するには、警察手帳の入手経路を明かさないワケにいかないと思うんだけど、まあ山辺ならうまく誤魔化すことでしょうw

そもそも山辺がヒロシの恨みを買ったのは、かつて覚醒剤所持の濡れ衣で(他のバーテンと勘違いして)彼を何度も殴りつけたから。そのことに対する反省の色も全くない山さんは、人格に問題あり過ぎですw ヒロシ側から見れば悪徳刑事そのもので、まるでアメリカンニューシネマみたいな破滅のストーリー。

それでもなぜか憎めないのは、ひとえに演じる財津一郎さんの愛嬌溢れるキャラクターのお陰。雰囲気で騙されちゃうんですよねw それと昭和50年という時代背景。例の「カッペ」発言といい、今ならネットの自警団たちが黙っちゃいないでしょう。

刑事ドラマ史において『新宿警察』は地味な存在だけど、こうして観てみると王道『太陽にほえろ!』では味わえない、アンチヒーローの魅力が詰まってて面白いです。

作風は『大都会/闘いの日々』と『ジャングル』の中間ぐらいな感じで、明るくはないけど湿っぽくもなく、夜10時台の番組だけあって色っぽい場面も多く、一言で評すればオトナ向けの刑事ドラマ。渋いのがお好みの方にはオススメです。

小林稔侍さん、三ツ木清隆さんとトリオでゲスト出演された関根世津子さんは、当時19歳。TVデビューは円谷プロの特撮ドラマ『緊急指令10-4・10-10』#18 ('72) へのゲスト出演で、今回の『新宿警察』#04と同じ'75年に『太陽にほえろ!』#145(決定的瞬間)にもゲスト出演。

ほか、刑事ドラマは『夜明けの刑事』#21、『燃える捜査網』#01、『新・二人の事件簿/暁に駆ける!』#11、『新幹線公安官』第2シリーズ#19、『秘密のデカちゃん』#12等にゲスト出演されてます。
 

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『警視庁・捜査一課長2020』#07

2020-05-23 21:50:21 | 刑事ドラマ2000年~










 
第6話まで順調に放映されて来た『警視庁・捜査一課長2020』も、ついに先日の第7話から「傑作選」リピート放映に切り替わりました。

新型コロナウイルスの感染防止対策によりTVドラマが軒並み放映延期、休止、過去作の再放送といった処置を採らざるを得ない、前代未聞の事態に陥ってることは説明不要でしょうけど、時代の記録としてここに記しておきます。

今回放映されたのは、安達祐実さん扮する広報課の「もなか」こと谷中萌奈佳(やなか もなか)がヒロインを務めたシーズン3の第2話。

ただし単純な再放送じゃなくて、冒頭とラストに大岩捜査一課長(内藤剛志)、小山田監理官(金田明夫)、奥野運転担当刑事(塙 宣之)の主役トリオによる新撮パート=テレワーク(リモート撮影)による捜査会議シーンが加わり、なぜこのエピソードが再放送に選ばれたのか解説してくれるんですよね。

柳ゆり菜さん、黒川智花さんをゲストに迎えたこの回は華やかではあるんだけど、そんなに取り立てて面白かったワケでもありません。じゃあ、なぜ選ばれたのかと言えば、捜査一課の中に眼つきが異様に怪しい人物がいるというタレコミがあったから。

で、「よし確認してみよう」ってことで再放送が始まり、最後まで観るとその人物が奥野運転担当刑事だったことが判明する。事件に巻き込まれたゲストの黒川さんが恋人と結ばれ、幸せに暮らしてる様子を大岩捜査一課長が公用車からこっそり見守るラストシーンで、バックミラーに写った奥野運転担当刑事=塙宣之さん(お笑いコンビ『ナイツ』の人)の眼つきが死んだ魚みたいで怖すぎるとw、当時ネットで話題になったらしいんですね。

それは塙さんがレギュラー入りしたばかりで緊張されてたせいなんだけど、よせばいいのに塙さんがネットでエゴサーチしてみたら「表情筋が殉職してる」なんて書かれてて凹んだw、みたいな裏話も聞けて面白かったです。(その書き込みをした人のワード・センスが素晴らしい!)

そんな感じで、お三方がそれぞれ役を演じつつ、アドリブで素の部分も見せてくれるし、再放送でもこうして違った角度から観直せるから新鮮です。

しかしテレワークでドラマを収録する手法は、こうしてオマケとして観る分には楽しめるけど、それがメインになっちゃったらイヤですよね。NHKさんが先陣を切ってそんなドラマを始めてますけど、私は全然観る気になれません。そのうち大河ドラマなんかもテレワークで撮っちゃう時代が来るんでしょうか?

先日、それこそテレワークで収録されたNHKの討論番組で、脚本家の野木亜紀子さんが「例えばキスシーン1つでも(視聴者が感染を意識するだろうから)ドラマでやりにくくなる」みたいなことを仰ってました。

報道やバラエティー番組はこのままテレワーク方式でも成立しそうだけど、ドラマや映画はそうもいかない。たとえ自粛要請が解かれたとしても、生活の中に新型ウイルスが存在する以上、以前と同じドラマ創りはもう出来ないワケです。

本当に冗談抜きで、恋人どうしが2メートル以上近寄らないラブストーリーが生まれるかも知れないし、刑事ドラマはいよいよ全編テレワークで捜査する(突っ立って謎解きすらしない)ようになるかも知れません。そんなもん誰が観るねん?って話です。

まだ大半の春ドラマが再開の目処も立ってないというのに、テレビ雑誌ではもう夏ドラマの情報が掲載され始めてます。なんでそんな楽観的でいられるのか理解に苦しみます。

ウイルスの第二波、第三波が確実に来るならば、テレビドラマは本当に今年を境に全く違ったものになっちゃうかも? それで面白くなる可能性は、どう考えてもありません。

セクシーショットは安達祐実さん、柳ゆり菜さん、黒川智花さんです。
 

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『ゾンビアス』―3

2020-05-20 22:28:45 | 日本映画










 
しかし『ゾンビアス』最大の圧巻シーンは、護あさなさんがトイレでウンデッドに襲われる場面でしょう。

そこはトイレというより便所と呼んだ方がしっくり来る、古式ゆかしき汲み取り仕様の和式トイレで、私の幼少期はまだ一般家庭もそれがスタンダードでした。

便器の真ん中に大きく深い穴があり、その暗闇の中からバケモノが這い上がって来るシチュエーションを想像して、背筋に悪寒を走らせるのが日本の伝統みたいなもんでした。

たぶん排泄物ゾンビの映画を創ろうという発想は、そこから生まれたんじゃないかと思います。だとすれば、まさにこのシーンこそがメインイベントと言えましょう。

グラビアアイドル出身の護あさなさんは、演技初体験となる本作で、「脱ぎ」の予定は無かったにも関わらず「トイレで用を足すのに下着を下ろさないのは不自然だから」と、お尻ご開帳を自ら買って出られたんだそうです。素晴らしい!

後に『過激派オペラ』でも大胆ヌード&振りきった演技を披露される主役の中村有沙さんも、この『ゾンビアス』が初脱ぎ作品。NHK教育『天才てれびくん』シリーズでレギュラーを務められた子役出身の方で、自分の殻を破りたいとの思いからヌードもアクションも放屁も全身全霊で演じてくれてます。

そんな中村さんの覚悟がきっと、護さんはじめ共演者たちにも伝染したんでしょう。この映画は女優さんたちの演技から伝わって来る熱量がハンパなくて、究極にバカげた内容なのに不思議と感動しちゃうんですよね。

逆に護さんや菅野麻由さんの熱演、あるいは奥村優希さんの堂々たる悪役ぶり等が中村さんに刺激を与える相乗効果もあっただろうし、そういうキャストを集めた時点でこの映画は成功を約束されたようなもんだと思います。

とはいえ、なにしろ内容が徹底的に下品ですからw、その熱量に見合った評価はなかなか得られないかも知れません。そこがもどかしいし、ちょっと切ないですね。彼女たちの頑張りがもっと報われて欲しい!

グロが苦手にも関わらず、私は本作のDVDを買ってしまいそうです。それだけの価値が、彼女たちの演技には絶対あると思うから。
 

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『ゾンビアス』―2

2020-05-19 22:22:46 | 日本映画










 
『ゾンビアス』には『悪魔のいけにえ』はじめ古今東西の名作ホラー映画へのオマージュ、パロディーが散りばめられてるそうだけど、そっち方面はあまり観ない私にはピンと来ません。

それでも最後まで楽しめたのは、前回書いたとおり若手女優陣の頑張りと、井口昇監督こだわりのお尻ショットの数々に因るところが大きいかと思います。

お尻のクローズアップが多いのは勿論、中村有沙さんや護あさなさんがパンティーを脱ぐシーンはしっかり背後からお尻目線で撮ってくれるし、菅野麻由さんの半ケツ場面はお尻をどこまで出すかミリ単位までこだわっておられるしw、中村さんがウンチを我慢しながらトイレに向かう、ただそれだけのシーンを「お尻の動きが違う」と10テイクぐらいNGを出したり等w、この映画の主役はお尻なんだ!と言わんばかりのこだわりよう。おしり星人を自称しながら今までこの映画を見逃して来た、我が身を恥じ入るばかりでございますm(__)m

ゾンビたちも全員後ろ向きでお尻を突き出しながら迫って来るし、クライマックスではヒロインの中村さんが、おならのジェット噴射で空を飛ぶというw、誰もが幼児期に妄想するジョークを大真面目に実行してくれて、さすがに失笑を禁じ得ませんw でも素晴らしい!

と言いつつ最も我々の股間を刺激してくれるのは、敵役の奥村優希さんにセーラー服を破られ、片乳がはだけた状態のまま戦う中村さんのお姿かも知れません。その前に自らおっぱいを全開にするシーンがあるんだけど、破れ目からチラチラ見える乳首の方が数百倍エロチックで、井口監督は本当によく解ってらっしゃる方だと思いました。

そんなヌードあり、オナラあり脱糞ありの主演映画を、中村さんのご両親が劇場鑑賞された時、お母様は大喜びされたけどお父様は終始無言だったそうですw どうですか皆さん、ご自分の娘や孫娘がこんな映画に出演したとしたら?w
 

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