H・アール・カオスの公演を観てきました。
大友直人指揮、東京シティ・フィル演奏との
コラボレーション企画です。
H・アール・カオスは1989年に
演出・振付家の大島早紀子とダンサーの白河直子によって
設立されました。
海外でも高い評価を受けているダンス・カンパニーです。
演目は
バルトーク 『中国の不思議な役人』
サン=サーンス 『瀕死の白鳥』
ラヴェル 『ボレロ』
の3曲です。
H・アール・カオスの舞台を観るのは3回目です。
過去2回とも素晴らしかったので今回も期待していましたが、
その期待を裏切らない公演でした。
『中国の不思議な役人』は幕が上がると
高い天井から2名のダンサーが逆さ吊りにされており、
冒頭から一気にH・アール・カオスの世界に引き込まれます。
わずか数十メートル先に展開する空間はもはや異次元です。
手を伸ばしても触れることはできず、
決して足を踏み入れることも叶わない世界です。
演出や踊りだけでなく、
どの公演も舞台美術、空間美術が本当に素晴らしい。
まさに唯一無二の「H・アール・カオス」という総合舞台芸術です。
天井からのロープなどで宙吊りになって踊るのは
彼女等の舞台でよく出てきます。
私は「踊り」の究極の目標の一つは、
「重力からの身体の開放」だと思っています。
あたかも重力を感じていないかの如く
跳躍し、回転し、静止する。
バネの付いたロープで繋がれた身体は、
月面をジャンプしながら進むアームストロング船長のように
一見、重力から開放されたかのように見えます。
しかし重力から開放された身体では、
地上のように自由に「踊る」ことはできないのです。
重力によって「踊る」ことが可能になり、
その「踊り」で重力からの脱却を目指す。
何というアンビバレンス!!
だからこそ、その「奇跡」をなしえたダンサーに、
それを可能にした空間に魅了されるのでしょう。
演出・振付の大島早紀子さんは「現代社会」を強く意識しており、
作品にもそのメッセージや哲学が反映しています。
しかし、舞台はそれら全てを「美」へと昇華させています。
我々は何らかの「意味」を読み取ろうとする必要はなく、
目の前に現れた異空間を観て、感じればいいのです。
素晴らしい完成度に到達した「芸術」だと思います。
大友直人指揮、東京シティ・フィル演奏との
コラボレーション企画です。
H・アール・カオスは1989年に
演出・振付家の大島早紀子とダンサーの白河直子によって
設立されました。
海外でも高い評価を受けているダンス・カンパニーです。
演目は
バルトーク 『中国の不思議な役人』
サン=サーンス 『瀕死の白鳥』
ラヴェル 『ボレロ』
の3曲です。
H・アール・カオスの舞台を観るのは3回目です。
過去2回とも素晴らしかったので今回も期待していましたが、
その期待を裏切らない公演でした。
『中国の不思議な役人』は幕が上がると
高い天井から2名のダンサーが逆さ吊りにされており、
冒頭から一気にH・アール・カオスの世界に引き込まれます。
わずか数十メートル先に展開する空間はもはや異次元です。
手を伸ばしても触れることはできず、
決して足を踏み入れることも叶わない世界です。
演出や踊りだけでなく、
どの公演も舞台美術、空間美術が本当に素晴らしい。
まさに唯一無二の「H・アール・カオス」という総合舞台芸術です。
天井からのロープなどで宙吊りになって踊るのは
彼女等の舞台でよく出てきます。
私は「踊り」の究極の目標の一つは、
「重力からの身体の開放」だと思っています。
あたかも重力を感じていないかの如く
跳躍し、回転し、静止する。
バネの付いたロープで繋がれた身体は、
月面をジャンプしながら進むアームストロング船長のように
一見、重力から開放されたかのように見えます。
しかし重力から開放された身体では、
地上のように自由に「踊る」ことはできないのです。
重力によって「踊る」ことが可能になり、
その「踊り」で重力からの脱却を目指す。
何というアンビバレンス!!
だからこそ、その「奇跡」をなしえたダンサーに、
それを可能にした空間に魅了されるのでしょう。
演出・振付の大島早紀子さんは「現代社会」を強く意識しており、
作品にもそのメッセージや哲学が反映しています。
しかし、舞台はそれら全てを「美」へと昇華させています。
我々は何らかの「意味」を読み取ろうとする必要はなく、
目の前に現れた異空間を観て、感じればいいのです。
素晴らしい完成度に到達した「芸術」だと思います。