老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

533;寂寥感

2017-11-12 11:35:44 | 老いの光影
那須連山と阿武隈川の夕焼け 右端のラパン・ショコラは愛車 在宅訪問大活躍 38月で75,000km走行
寂寥感

癌の病を抱え
歩くこともままならぬ老女は
長年住み慣れた家に帰ることもできず
空蝉の如く空家となった

いまは 殺風景な温もりのない
高齢者住宅の一室に棲む
窓に鉄格子がないだけの
俗世間から遮断された時空間

老女は呟く
「こうして独りでいると 言葉まで忘れてしまう」 
髪の毛が抜け落ちるように
記憶までも失っていく
残るのは寂寥感

握った老女の手を離し
「またね」と別れの言葉を「放す」(話す)
遣る瀬無く 
せつなく
どうしようもなく
独り生きる老女の寂寥感を
包み込むこともできない
非力な自分


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 532;上手な介護サービスの活... | トップ | 534;もう一つの阿呆鳥の詩 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

老いの光影」カテゴリの最新記事