俺流俳句 「いちらくいちらく」

俳句で遊ぼ。

あなたも、優しくなれます。
          
          千秀

水浴び

2008年05月31日 | 俳句

『さくらんぼ 鳥も啄む 美味さかな』
(さくらんぼ とりもついばむ うまさかな)

『田植時 一年一年 狭くなる』
(たうえどき いちねんいちねん せまくなる)

『鶺鴒と 雀仲良く 水浴びし』
(せきれいと すずめなかよく みずあびし)

『菖蒲咲く 風の筋なる 濃紫』
(あやめさく かぜのすじなる こむらさき)

『蜘蛛の糸 風に吹かれて 有るを知る』
(くものいと かぜにふかれて あるをしる)

『マンションの 紫陽花咲いたと 自慢げに』
(まんしょんの あじさいさいたと じまんげに)

『紫陽花に 似合うものあり 五月雨』
(あじさいに にあうものあり さつきあめ)


紫陽花

2008年05月30日 | 俳句

『雨上がり 紫陽花の花 生き返り』
(あめあがり あじさいのはな いきかえり)

『梅雨に入り 黄色き蝶の 飛びにけり』
(つゆにいり きいろきちょうの とびにけり)

『団扇の絵 娘と見しや オールスター』
(うちわのえ むすめとみしや おーるすたー)

『物思はず 一杯欲しき 冷し酒』
(ものおもはず いっぱいほしき ひやしざけ)

『隠れ酒 見つかりし後 冷し酒』
(かくれざけ みつかりしあと ひやしざけ)

『冷奴 もひとつ欲しき 酒なるか』
(ひややっこ もひとつほしき さけなるか)


夏の海

2008年05月29日 | 俳句

『コンビニの 冷房恋いしや 椋鳥も』
(こんびにの れいぼうこいしや むくどりも)
 
『昼下がり 生駒の山は 夏模様』
(ひるさがり いこまのやまは なつもよう)

『夏の昼 太陽電池 陰の中』
(なつのひる たいようでんち かげのなか)

淡路へ一泊二日の出張
『今走る 垂水も舞子も 夏風情』
(いまはしる たるみもまいこも なつふぜい)

『六甲の 山削られて 夏のビル』
(ろっこうの やまけずられて なつのびる)

『我が親し 塩屋の岬 夏の海』
(わがしたし しおやのみさき なつのうみ)

『明石橋 夏の渦やら ここかしこ』
(あかしきょう なつのうずやら ここかしこ)

『瀬戸の海 黄色に燃えて 夏淡路』
(せとのうみ きいろにもえて なつあわじ)

『淡路島 会わずじまいの 夏の女』
(あわじしま あわずじまいの なつのひと)

『淡路の海 鳶が三羽 夏を呼ぶ』
(あわじのみ とんびがさんわ なつをよぶ)

『鳶飛び ゆるりと輪を描く 夏の空』
(とんびとび ゆるりとわをかく なつのそら)

『夕焼けて 鳶飛ぶ先に 貨物船』
(ゆうやけて とびとぶさきに かもつせん)

『朝焼けの 海の向こうに ビルの波』
(あさやけの うみのむこうに びるのなみ)

『赤潮の 帯を隔てて 自衛艦』
(あかしおの おびをへだてて じえいかん)


『梅雨が来た 膝の敵なる 梅雨が来た』
(つゆがきた ひざのかたきなる つゆがきた)


青野

2008年05月28日 | 俳句

『青野にて 大の字に寝る 夢を見る』
(あおのにて だいのじにねる ゆめをみる)

『麦秋や 誰の歌碑やら 雀集う』
(ばくしゅうや だれのかひやら すずめつどう)


夏の雨

2008年05月27日 | 俳句

『癖っ毛も 短く刈れば 草若葉』
(くせっけも みじかくかれば くさわかば)

『高圧下 喧しきや 百千鳥』
(こうあつか かまびすしきや ももちどり)

『つばくらめ 喧しきを 人知らず』
(つばくらめ かまびすしきを ひとしらず)

『北の空 思い馳せれば 夏の雨』
(きたのそら おもいはせれば なつのあめ)

『いつもより 気の晴れて降る 夏の雨』
(いつもより きのはれてふる なつのあめ)


青葉雨

2008年05月26日 | 俳句

『五月雨て 六甲颪 いまひとつ』
(さみだれて ろっこうおろし いまひとつ)

『青葉雨 新緑の葉 輝けり』
(あおばあめ しんりょくのは かがやけり)

『五月晴れ 雨の合間に 陽の射して』
(さつきばれ あめのあいまに ひのさして)

『葉桜や 幾日経っても 葉桜や』
(はざくらや いくにちたっても はざくらや)

『甲羅干し 夫婦離れて 夏の亀』
(こうらぼし めおとはなれて なつのかめ)

『朋ありて 肉が並びし 夏の宴』
(ともありて にくがならびし なつのえん)

『夏散歩 光る瓦に 鬼がわら』
(なつさんぽ ひかるかわらに おにがわら)

『燕の巣 一家を成して 出入りあり』
(つばめのす いっかをなして でいりあり)

『葉桜の トンネル抜けて そこは雨』
(はざくらの とんねるぬけて そこはあめ)

『夏の湯は 一段熱き 嫁の愛』
(なつのゆは いちだんあつき よめのあい)


夏木立

2008年05月25日 | 俳句

『五月空 見上げて雲に 風になる』
(さつきぞら みあげてくもに かぜになる)

『五月雨や 晴れの合間の 物憂さよ』
(さみだれや はれのあいまの ものうさよ)

『雨音の 耳に残りて 夏の夜』
(あまおとの みみにのこりて なつのよる)

『ラーメンの具 夏野菜ばかり 嫁の留守』
(らーめんのぐ なつやさいばかり よめのるす)

『年金は 生姜なしの 冷奴』
(ねんきんは しょうがなしの ひややっこ)

『夏の雨 いつの間にやら 上がりけり』
(なつのあめ いつのまにやら あがりけり)

『豆飯の 料理番組 すべて消す』
(まめめしの りょうりばんぐみ すべてけす)

『金魚を 見ているほどの 退屈さ』
(きんぎょを みているほどの たいくつさ)

『もう会えぬ 人の増えたり 聖五月』
(もうあえぬ ひとのふえたり せいごがつ)

『木の上の 居眠り一番 夏木立』
(きのうえの いねむりいちばん なつこだち)


夏川

2008年05月24日 | 俳句

『似て居りぬ 前の座席の 夏の女』
(にておりぬ まえのざせきの なつのひと)

『我が妹に 浴衣の色気 出るは何時』
(わがいもに ゆかたのいろけ でるはいつ)

『朝が来た 夏の海から 陽が上る』
(あさがきた なつのうみから ひがのぼる)

『燕の巣 同じ匂いの 店構え』
(つばめのす おなじにおいの みせがまえ)

『右に見る 薄紅重ねし 山躑躅』
(みぎにみる うすべにかさねし やまつつじ)

『息止めて 見ざるを得んや 夕牡丹』
(いきとめて みざるをえんや ゆうぼたん)

『ひらひらと 我が前泳ぐ 青揚羽』
(ひらひらと わがまえおよぐ あおあげは)

『夏川の せせらぎの音に 足を止め』
(なつかわの せせらぎのおとに あしをとめ)

『夏川の せせらぎの音 母の音』
(なつかわの せせらぎのおと ははのおと)

『葉桜の 木洩れ陽の向こう 想いやる』
(はざくらの こもれびのむこう おもいやる)

『夏草や 露玉重たく 風に揺れ』
(なつくさや つゆたまおもたく かぜにゆれ)
                  =6400


金魚

2008年05月23日 | 俳句

『行々子や 河原ゴルフに 鳴り潜め』
(よしきりや かわらごるふに なりひそめ)

『あめんぼや 波紋小さく 風に乗る』
(あめんぼや はもんちいさく かぜにのる)

『掬われし 金魚となるか 鉢の中』
(すくわれし きんぎょとなるか はちのなか)

『孫のする 物真似見たき 夏の夜』
(まごのする ものまねみたき なつのよる)

『薔薇色の 老後生活 夢の夢』
(ばらいろの ろうごせいかつ ゆめのゆめ)

『幾たびや 同じ道行く 走馬灯』
(いくたびや おなじみちゆく そうまとう)

『我が得意 ラムネの栓開け 今昔』
(わがとくい らむねのせんあけ いまむかし)

『鹿の子の 猫なで声で キーと鳴く』
(しかのこの ねこなでごえで きーとなく)


新樹

2008年05月22日 | 俳句

『麦の秋 雀の天下も ここ三日』
(むぎのあき すずめのてんかも ここみっか)

『さみどりの 色重なりて 新樹かな』
(さみどりの いろかさなりて しんじゅかな)


蝸牛(かたつむり)

2008年05月21日 | 俳句

『短めの ショートパンツ 夏めける』
(みじかめの しょーとぱんつ なつめける)

『似合わぬと 素通りしてる 薔薇の門』
(にあわぬと すどおりしてる ばらのもん)

『牛蛙 透明なるか 声ばかり』
(うしがえる とうめいなるか こえばかり)

『蝸牛 這いし跡には 星の屑』
(かたつむり はいしあとには ほしのくず)

『囀りや 谷の向こうに 隠れけり』
(さえずりや たにのむこうに かくれけり)

『葉桜や 駅の出迎え 恙無く』
(はざくらや えきのでむかえ つつがなく)

『藤の花 やさしく揺れて 風と知る』
(ふじのはな やさしくゆれて かぜとしる)


卯の花腐たし

2008年05月20日 | 俳句

『化粧する 女の欠伸 夏旱』
(けしょうする おんなのあくび なつひでり)

『膝痛を 共に出陣 夏の朝』
(ひざつうを ともにしゅつじん なつのあさ)

『電線に 蚯蚓銜えた シルエット』
(でんせんに みみずくわえた しるえっと)

『曇り空 青葉若葉の 瑞々し』
(くもりぞら あおばわかばの みずみずし)

『青葉雨 一雨ごとに 木々青し』
(あおばあめ ひとあめごとに きぎあおし)

『深呼吸 目に飛び込みし 若葉かな』
(しんこきゅう めにとびこみし わかばかな)

『雨降れば 卯の花腐たし 膝腐たし』
(あめふれば うのはなくたし ひざくたし)
                  卯の花腐たし=五月雨

『水の辺に ぽっつりぽつり 咲く菖蒲』
(みずのべに ぽっつりぽつり さくあやめ)

『目に青葉 陽沈む国の 地震かな』
(めにあおば ひしずむくにの じしんかな)

『そら豆を 夕食とする 女も居て』
(そらまめを ゆうしょくとする ひともいて)


夏めく

2008年05月19日 | 俳句

『夏めくや 空より落ちる 鷺の糞』
(なつめくや そらよりおちる さぎのふん)

『白鷺も 親は世話やき 子は逃げる』
(しらさぎも おやはせわやき こはにげる)

『白鷺は 剥製のごと 動かざり』
(しらさぎは はくせいのごと うごかざり)

『信金の 裏の田圃に 白鷺が』
(しんきんの うらのたんぼに しらさぎが)

『近づくと あかんべして去る 白鷺よ』
(ちかづくと あかんべしてさる しらさぎよ)

『ほととぎす 飛び立ち際に 姿見ゆ』
(ほととぎす とびたちぎわに すがたみゆ)

『ほととぎす 撮る間もなくに 飛び立ちぬ』
(ほととぎす とるまもなくに とびたちぬ)

『聞き澄ます 啼き声だけの ほととぎす』
(ききすます なきごえだけの ほととぎす)


蛇の衣

2008年05月18日 | 俳句

『駅前の 舟の噴水 沈没せず』
(えきまえの ふねのふんすい ちんぼつせず)
 
『春夏の 境も判らず 更衣』
(はるなつの さかいもわからず ころもがえ)

『冷麦の 色ある麺の 味も良き』
(ひやむぎの いろあるめんの あじもよき)

『蛇苺 好んで食べる 女も居て』
(へびいちご このんでたべる ひともいて)

『甚平や 底を着きたる 身だしなみ』
(じんべいや そこをつきたる みだしなみ)

『一面に 蚯蚓這い出て 憤死せり』
(いちめんに みみずはいでて ふんしせり)

『蜘蛛の巣に 展示されたる 蛇の衣』
(くものすに てんじされたる へびのきぬ)
                 蛇の衣=蛇の抜け殻

『初鰹 義父の顔やら 浮かびけり』
(はつがつお ちちのかおやら うかびけり)

『色鯉に 附かず離れず 真鯉あり』
(いろこいに つかずはなれず まごいあり)

『鴉の子 その黒光 親譲り』
(からすのこ そのくろびかり おやゆずり)


水馬(あめんぼう)

2008年05月17日 | 俳句

『薫風や 撫でくり回す 不精髭』
(くんぷうや なでくりまわす ぶしょうひげ)

『麦の秋 霞網破れ 雀入る』
(むぎのあき かすみあみやぶれ すずめいる)

『水馬 六つの足の 波紋あり』
(あめんぼう むっつのあしの はもんあり)

『はや耳順 衣替えのごと 着替えたし』
(はやじじゅん ころもがえのごと きがえたし)