『秋萩に 契りしことも 薄れ行く』
(あきはぎに ちぎりしことも うすれゆく)
『石垣の 枝垂れる萩に 風優し』
(いしがきの しだれるはぎに かぜやさし)
『新月も 名月なりと 想う我』
(しんげつも めいげつなりと おもうわれ)
『女郎花 露けし姿 今は無し』
(おみなえし つゆけしすがた いまはなし)
『山の辺の 行く先示す 案山子かな』
(やまのべの ゆくさきしめす かかしかな)
『秋風よ 明日香の薫り 乗せて吹け』
(あきかぜよ あすかのかおり のせてふけ)
『夕焼けに 照らされし山に 秋の声』
(ゆうやけに てらされしやまに あきのこえ)
『菊咲けり 光を浴びて 菊咲けり』
(きくさけり ひかりをあびて きくさけり)
『秋の声 秋篠寺の 鬼瓦』
(あきのこえ あきしのでらの おにがわら)
『秋声や 一本足に 涙する』
(しゅうせいや いっぽんあしに なみだする)
『奴には 今日は生姜が 無いと言う』
(やっこには きょうはしょうがが ないという)
『窓の戸の 開け閉め毎に 秋の風』
(まどのとの あけしめごとに あきのかぜ)