庭のタマツゲの周りをキボシアシナガバチらしいハチが一匹,この木を気にしているような感じで飛んでいました。しばらく見ていると,すぐ横のキンカンの木の方に移動しました。そこにいるかもしれない幼虫を探し回っているのかな,と一瞬思いました。
ところが,そうではないことがわかりました。実際は巣を作る材料を探していたのです。
ハチはキンカンの枯れ枝に降り立って,何か食べているようなしぐさをしました。口の動かし方から,どうやら枝を引っ掻いているように思われました。夢中なので,カメラを近づけても気づきません。
その後,キンカンの葉に移りました。その葉は,縁が部分的に枯れています。そこでも,バリバリと葉を砕いている様子。それで,はっきりわかりました。巣の材料を集めているってことが! この種のハチは,枯れた木や葉を材料にして巣を作ります。その巣作りを見て,木の繊維から西洋紙を製造できることを提案したのが,フランスの科学者レオミュール。時は1719年のことでした。
「ははーーん,巣を作っているのだな」と思いながら,ハチの行方を追いました。すると,すぐ近くにある,別のツゲの木に飛んで行きました。そうして,葉の間から奥に入って行ったのです。
それで,そっと枝を動かして様子を見てみようと思いました。すると,どうでしょう! そこに巣があったのです。
そこでは数匹のキボシアシナガバチがせっせと巣作りをしている最中でした。瞬間,巣の材料集めと巣作りがつながって,ほんとうに驚きました。
フタモンアシナガバチの巣とはかたちが違っています。こちらは大きく,背面が反り返っています。キボシアシナガバチは小型でも,相当な攻撃性があるようです。注意,注意。ハチはハチでも,違いが見えてきて「なるほどなあ」と感じました。