わが家の生け垣のサザンカ。今,花が開きかけています。花弁の赤色は昆虫を誘う手。この作戦に乗せられて訪れたハエのなかまはひととき蜜やら花粉やらを舐めます。
よほど寒さの厳しい日は別として,よく見ていけばヒラタアブやツマグロキンバエたちが見つかります。ツマグロキンバエが蕊の奥に頭を突っ込んでいるとき,カメラを近づけても気づきません。
これだけオシベが林立していると,受粉の確率はずいぶん高くなるでしょう。
わたしが昆虫写真に熱中していることを知った人はよくこんなふうにおっしゃいます。「冬は昆虫がいないのでなにをお撮りになるのですか」。わたしが「そんなことはありませんよ。ちゃんといるんです」と答えると,びっくりされます。花弁はあくまで昆虫を呼び寄せる手段。匂いもそう。冬にすがたが目につく花が咲くのは昆虫がいる証拠。
そう考えると,観察のたのしみは年中途切れることはありません。ですから,撮影のたのしみもずっとずっと続くばかり。