ツマグロキンバエの顔写真を撮るために,サザンカの花を訪れていたオスを捕獲。気温が高いと動きが大きいので,気温の下がる夜間に撮影開始。といっても,一回だけではうまくいきません。白い台紙に載せ,覆い蓋をわずかに上げて,できた隙間から撮りました。
暴れるので,からだには埃が付着します。
口から,お得意の液体を出しました。
タイミングをみて近づきます。
反対方向からも撮ります。
真正面方向は逃せません。
これだけ撮るのに三日を費やしました。なんとか撮れて「ほっ!」。
ツマグロキンバエの顔写真を撮るために,サザンカの花を訪れていたオスを捕獲。気温が高いと動きが大きいので,気温の下がる夜間に撮影開始。といっても,一回だけではうまくいきません。白い台紙に載せ,覆い蓋をわずかに上げて,できた隙間から撮りました。
暴れるので,からだには埃が付着します。
口から,お得意の液体を出しました。
タイミングをみて近づきます。
反対方向からも撮ります。
真正面方向は逃せません。
これだけ撮るのに三日を費やしました。なんとか撮れて「ほっ!」。
畑のネット上にて。
野菜を覆っているネットにハナバエがとまってじっとしていました。体長5mmあまり。ネットをさわっても動きません。
見ると,翅の一部が欠けています。まったく動きがないのは,すでにいのちを失っているからなのでした。
それで顔写真を撮っておきました。
この程度まで細かく撮れたらよいほうでしょう。なにしろハナバエは多少寒くても,どこかからだの一部を動かすので撮影は容易ではありません。
左右の視野は2.25mmです。計算すると複眼の左右幅は1.7mmになります。
なんらかのトラブルに遭い,寒さが堪えてこうなったのでしょうか。
例年どおりのコースでセツブンソウを訪ねて自生地へ。この日は二つの集落を訪れました。
ここは斜面の群落。数日前に積もった雪がところどころに残っています。雪か雨の影響で,花弁に見える萼片はしっとりと湿って透明感が出ていました。朝なので,陽がまだ当たっていません。
右上から光が広がります。
光がパッとあたります。萼片の表面の凹凸がやわらかに見えます。
真逆光下で撮りました。雪の塊りがわずかに向こうに見えます。こういう環境にセツブンソウは生えています。
この群生地はパラパラとあちこちに花が咲く程度の規模です。華やかなほどに群生するには相当な年数,保護の手が必要のようです。
セツブンソウを訪ねる旅は年中行事になりました。
カラスウリの実の色は真っ赤。キカラスウリのそれは文字どおり黄。このキカラスウリの実が公園の木からぶら下がっているのを発見。冬なので,枯れており,黄色の名残りはなく地味な褐色に変わり果てています。
わたしはそれまで実物を見たことはなく,今回が初めてだったので大層感動しました。くわしく調べているうちにキカラスウリの根はその昔,あせもに使う天花粉(てんかふん・天瓜粉)の材料になったことを知り,このことも感動。「ほっ,ほーっ!」ですね。なにしろ,わたしが小さな頃に使っていた経験があったものですから。さらに種子も根も漢方薬になるとのこと。
実はからからに乾いているので,片手で軽く握ると,バリバリッという感じで壊れました。中には種が。種子のかたちはカラスウリのそれとはすっかりちがっていて,見たことがなかったら想像できないでしょう。わたしがそうなのです。とりたてて変わったかかたちではありませんが。「へぇーっ!」と思うすがたです。
きれいに洗って,カラスウリと同じように播種してみようと思っています。どんな芽生えが観察できるかな。
この種のハナバエは冬だってとても活動的です。耐寒性が相当にあるようで,よほど低温でない限り,見かけることがよくあります。
それで,顔写真を撮っておこうと思い,サザンカの花弁にとまっていたハナバエを捕獲。気温が下がった夜,撮影することにしました。まず全身からです。小さいながらも剛毛で覆われています。
白い紙に載ったとき,容器をそっと取り除いて撮影。一瞬にして逃げると困るので,ほんのすこしだけ容器を浮かす感じで撮ります。ちょっと動きかけたら,すぐ容器を被せます。
反対側からも撮りました。吻を出しかけて,じっとしていました。
さらに近づいて一枚。トリミングなしです。
おしまいは,いつものとおり真正面方向から。
これだけ撮れたのですが,緊張しっぱなしでした。なにしろ,いつ飛び上がるかわからないので。
サザンカの花に来ていたユスリカのなかまを捕らえて撮影しました。体長は5mm。
吻はかたちがU字形をしています。摂食の際はこれが伸びます。様子を見ていると,吻は花弁とか蕊とかを舐めるか,それらにこすりつけるか,そんなふうにして使われています。
小さなからだに,細かなしくみがちゃんと整えられていることがわかります。お見事です。平均棍が光っています。これは飛翔中の姿勢を安定させるジャイロスコープの機能を果たしているもの。
長い脚,あまりにも長い脚。カやユスリカのなかまに特徴的なもの。
ぐっと近寄ってみました。個眼が密に詰まっています。整然と並んでいます。触覚の様子もよくわかります。
真正面から撮りました。やっぱり脚の長さが際立っていて,それがからだを支えている様子が窺えます。
ちょっと近寄ってみました。
もっと近寄りました。今度は白い紙に置いて撮りました。
見えるすべてが巧妙にデザインされており,無駄はないという目で見ると,改めて驚き入ります。
カラスウリの種子はふしぎなかたちをしています。中ほどの大きな膨らみの左右に,それより小さめの付属物がくっ付いたかたちです。
一つだけを見ると,よくわかります。種子全体は透明の膜で覆われています。まるでラッピングされたように,膜で保護されているのです。
横方向から見ると,付属した部分の外側が窪んでいます。
種子の表面はカニの甲羅のように,突起が無数にあります。けっしてつるつるしているわけではありません。
カラスウリはウリ科植物。ウリ科の胚では子葉に養分が蓄えられていて,それが発芽時のエネルギー源となります。縦方向に切って,中を覗いてみました。中央の白い部分が子葉。
カラスウリを発芽させた体験記を調べていると,幼芽は先端にあるようです。そこから根が出て,葉が出始めるようです。子葉はマメ科植物のように地上型でなく,地中に残されて養分を送る地下型です。
左右の付属物は別の部屋になっています。中に白い筋状のものがあります。空間もあります。なんの役目を果たしているのでしょう。単なる空洞ではないので,なんらかの意味があるはず。種子を大きく見せるための作戦だとか,水に浮かぶための浮袋作戦だとか,想像たくましく推理できても真実には迫れそうにありません。
これらのすがたをさらに詳しく覗いてみました。
種皮を取り除いて胚部分を取り出しました。薄皮で覆われています。
断面を見て幼芽を探してみました。「これが幼芽!」といったものは,わたしの目には定かにはわかりません。
左右の付属部屋の一方を割ってみると……。繊維が横方向に並んでいます。ほんとうにこれってどんな意味?
カラスウリの種はなぞだらけ。これを食べるのはカラスだとかヒヨドリだとか,はたまたツグミだといった話があるようですが,わたしはまだ赤い実がなっているときに鳥が来ているのを見たことがありません。それでいて,カラスウリという植物は絶えることなくあちこちで育っています。
ほんとうにふしぎ。
蕊にゴミでも付着しているのかな,そう思ったらなんと昆虫。小さすぎて,そして頭がまるで見えなくて,さっぱり正体がわかりません。脚の様子からハナバチのなかまとでもしておきましょう。
脚に花粉が付いています。長めの触覚がわずかに見えます。
こんな昆虫が訪れているだなんて。こんな昆虫が花に関心を示しているだなんて。冬の昆虫観察はおもしろい!
花がちょっとほころび始めました。
次々に散策する人が通り過ぎて行きます。
この枝が気に入ったので,記録に残すことに。
すぐ傍を人が続きます。
日が過ぎて満開。
結構昆虫が訪れていました。このことについては別記事でご紹介していきます。
雪の朝です。カラッと晴れ上がって,眩いばかりの空がわぁーっと広がります。
雪景色が輝き,日陰にあるサザンカがぶるっと震えています。
花と雪と空。バランスのよい色彩が田舎の色合いです。
蕊の雪に陽が射します。
すこしずつ,わずかずつ,雪が解け始めます。
こういう日中はかならず昆虫が訪れます。それを待ちます。