『隊長っ!隊長っ!』
カイクスの叫ぶ声が耳を突いた。ふりむくパリヌルス、緊張が走った。
『どうしたっ?』
『左手前方に小島ですっ!』
カイクスの言葉とともに雨も来た。雨嵐の一歩手前の状況である。
『何っ!左手前方に小島?』
海上はもやって霞んでいる、パリヌルスはもやって霞む大気を払いのけるしぐさをしながら前方を見た。小さく小島の島影を見とめた。船足が速い、小さな島影が迫ってくる。
進行方向が狂っていた。右手に見えなければならないはずの島影を左手前方に見るとは、しかし、彼は迷わなかった。進路の変更とこの船のポジションである。この船が先導しなければ、行き着くミロス島の浜への導きと座礁の危険の回避を何んとしてもしなければならない。彼の心は急いた。そのうえ雨が来た、霞む海上、視界がはっきりしない。
カイクスに命じた。
『カイクス!操舵の者に伝えろ!この船は船列を離れ先頭に出る。船列の左に出て先頭に出ろと伝えろ。漕ぎかたに指示するのだ漕ぎかたはじめだ。急げっ!』
『判りました』
『それから各船に信号を送れ!『我に続け!』だ手信号で伝えろ!』
『判りました』
パリヌルスの第一船は、各船に信号を送りながら、先頭を行くオキテス第二船の左側に並んだ。船首の左舷にオキテスの姿が見える。パリヌルスは手信号で伝えた。
『左へ回頭せよ。我が船に続け』
手信号を三度繰り返した。オキテスから『了解』の返事が来る。間をおかずにパリヌルス第一船が左へ船首を向けて先頭に出た。
小島から離れた。と同時に目にしたのは、ミロス島の大きな島影であった。
カイクスの叫ぶ声が耳を突いた。ふりむくパリヌルス、緊張が走った。
『どうしたっ?』
『左手前方に小島ですっ!』
カイクスの言葉とともに雨も来た。雨嵐の一歩手前の状況である。
『何っ!左手前方に小島?』
海上はもやって霞んでいる、パリヌルスはもやって霞む大気を払いのけるしぐさをしながら前方を見た。小さく小島の島影を見とめた。船足が速い、小さな島影が迫ってくる。
進行方向が狂っていた。右手に見えなければならないはずの島影を左手前方に見るとは、しかし、彼は迷わなかった。進路の変更とこの船のポジションである。この船が先導しなければ、行き着くミロス島の浜への導きと座礁の危険の回避を何んとしてもしなければならない。彼の心は急いた。そのうえ雨が来た、霞む海上、視界がはっきりしない。
カイクスに命じた。
『カイクス!操舵の者に伝えろ!この船は船列を離れ先頭に出る。船列の左に出て先頭に出ろと伝えろ。漕ぎかたに指示するのだ漕ぎかたはじめだ。急げっ!』
『判りました』
『それから各船に信号を送れ!『我に続け!』だ手信号で伝えろ!』
『判りました』
パリヌルスの第一船は、各船に信号を送りながら、先頭を行くオキテス第二船の左側に並んだ。船首の左舷にオキテスの姿が見える。パリヌルスは手信号で伝えた。
『左へ回頭せよ。我が船に続け』
手信号を三度繰り返した。オキテスから『了解』の返事が来る。間をおかずにパリヌルス第一船が左へ船首を向けて先頭に出た。
小島から離れた。と同時に目にしたのは、ミロス島の大きな島影であった。