天候待ちの日は明けた。クリテスの天気に関する予想は的中した。常の日なれば凪ぎの頃合である、吹き返しと思われる西南の風が浜に吹き始めた。
パリヌルスら三人は、統領と軍団長を囲んで、明早朝の船出について打ち合わせた。
天候の移り変わりについてクリテスは、見事に言い当てていた。日が暮れるころには、空に星がまたたき、風もおさまり、明日の好天を期待させた。
パリヌルスはカイクスを呼び寄せた。
『カイクス、天候の移り変わりは、まさにクリテスの言うとおりだ。全くおそれいった。ところで各船長に伝えてほしい。明早朝、北に輝く荷車(大熊座)を背にして出航する。時は知らせる。そのように彼らに伝えてくれ』
『判りました。隊長、明日の好天、一日もちますかね』
『一日はもつ安心しろ。あとは風次第だ、船を押すいい風を願っている。カイクスお前、明日の航海を楽しめ!』
『有難うございます。では、伝言に行きます』
カイクスはパリヌルスの許を離れた。
パリヌルスは、明日の航海の無事を念じた。航海の無事には自信がある。それ故に彼は祈った。彼は祈りの力を信じた。身心中に宿しているもう一人の自分の見えざる手の力を信じた。彼は、ただただ無事にこの海洋を渡りきることだけを念じた。
パリヌルスら三人は、統領と軍団長を囲んで、明早朝の船出について打ち合わせた。
天候の移り変わりについてクリテスは、見事に言い当てていた。日が暮れるころには、空に星がまたたき、風もおさまり、明日の好天を期待させた。
パリヌルスはカイクスを呼び寄せた。
『カイクス、天候の移り変わりは、まさにクリテスの言うとおりだ。全くおそれいった。ところで各船長に伝えてほしい。明早朝、北に輝く荷車(大熊座)を背にして出航する。時は知らせる。そのように彼らに伝えてくれ』
『判りました。隊長、明日の好天、一日もちますかね』
『一日はもつ安心しろ。あとは風次第だ、船を押すいい風を願っている。カイクスお前、明日の航海を楽しめ!』
『有難うございます。では、伝言に行きます』
カイクスはパリヌルスの許を離れた。
パリヌルスは、明日の航海の無事を念じた。航海の無事には自信がある。それ故に彼は祈った。彼は祈りの力を信じた。身心中に宿しているもう一人の自分の見えざる手の力を信じた。彼は、ただただ無事にこの海洋を渡りきることだけを念じた。
