船団は南下を続けている。不満足は順風でないことであった。
太陽が中天に差し掛かってきている。南中のときである。パリヌルスは船団の進行方向を確かめた。方角時板も取り出して確認に及んだ。間違ってはいないことを確かめて安堵した。
彼のもうひとつの懸念である出航してからの進捗距離はどうだろうか、彼の想いでは終着地点までの2分の1地点には到達していたかった。これについては確認する術がなかった。勝手に想像するだけであった。ただ到着予定地に近づいていることだけを信じた。そのように信ずることのみで、それ以外に為すことができないもどかしさであった。
太陽の陽射しが海を暖める、自然の力は偉大である、風が起こりつつあった。
パリヌルスとオキテス、二人のシンクロナスな共時性思考と行動は、かすかな徴候の変化を見逃すはずがなかった。船団の先頭と殿りを行く二人は、マストのトップに取り付けている吹流し旗に目を運んだ。
『う~ん、風になびいている。来たっ!船を押す風だ!』
二人は、同時に展帆を指示した。
『カイクス、信号だ。急げっ!展帆を後続の各船に連絡するのだ。『順風!展帆しろっ!』だ。そして、『帆走しろっ!』だ』
『はい、判りました』
各船は、全展帆として波を割った。
櫂が軽くなる、ピッチを上げた。船足が速くなった。
太陽が中天に差し掛かってきている。南中のときである。パリヌルスは船団の進行方向を確かめた。方角時板も取り出して確認に及んだ。間違ってはいないことを確かめて安堵した。
彼のもうひとつの懸念である出航してからの進捗距離はどうだろうか、彼の想いでは終着地点までの2分の1地点には到達していたかった。これについては確認する術がなかった。勝手に想像するだけであった。ただ到着予定地に近づいていることだけを信じた。そのように信ずることのみで、それ以外に為すことができないもどかしさであった。
太陽の陽射しが海を暖める、自然の力は偉大である、風が起こりつつあった。
パリヌルスとオキテス、二人のシンクロナスな共時性思考と行動は、かすかな徴候の変化を見逃すはずがなかった。船団の先頭と殿りを行く二人は、マストのトップに取り付けている吹流し旗に目を運んだ。
『う~ん、風になびいている。来たっ!船を押す風だ!』
二人は、同時に展帆を指示した。
『カイクス、信号だ。急げっ!展帆を後続の各船に連絡するのだ。『順風!展帆しろっ!』だ。そして、『帆走しろっ!』だ』
『はい、判りました』
各船は、全展帆として波を割った。
櫂が軽くなる、ピッチを上げた。船足が速くなった。