パリヌルスは、肌に冷え込みを感じて目を開けた。夜半である、浜が明るい、彼は空を見上げた。月が煌々と玲瓏の光を投げおろしている。全天に星が瞬いている。
彼のいつものくせである、北の空に荷車(大熊座)の七つ星を見上げた。彼らは太陽と星を頼りにエーゲ海の南の端まで来た。建国を目指す第一段階の地点までにあと一日の航海である。その出航の時を間じかにして彼ら全員の心気は高揚していた。
『出航にはまだ少々早い。いま少しうつらとしよう』彼は軽く目を閉じた。閉じたまぶたの裏には、エノスを出てからの航海の数々の風景が浮かんだ。彼はうつらうつらと神経を休ませた。
浜の空気が動き始めた。その雰囲気を感じて彼は目を覚ました。傍らにアミクスが立っていた。
『パリヌルス隊長、オキテス隊長がもうそろそろだと言っています』
『おっ、そうか。判った』
パリヌルスは起ちあがった、東の空に目をやる、まだ黎明の気配がない、海は凪いでいた。彼はカイクスを伴ってオキテスのもとへと歩を運んだ。
『おう、おはよう。パリヌルス、気分はどうだ。クリテスの言うとおりの天気の気配だ、どうする?もういいな』
『おう、いいだろう。行動を起こそう。カイクスにアミクス、船長たちに伝言だ。出航準備に取り掛かるようにと伝えてくれ』
『はいっ!判りました。ほかに伝えることは?』 と念を押して連絡に走った。
彼のいつものくせである、北の空に荷車(大熊座)の七つ星を見上げた。彼らは太陽と星を頼りにエーゲ海の南の端まで来た。建国を目指す第一段階の地点までにあと一日の航海である。その出航の時を間じかにして彼ら全員の心気は高揚していた。
『出航にはまだ少々早い。いま少しうつらとしよう』彼は軽く目を閉じた。閉じたまぶたの裏には、エノスを出てからの航海の数々の風景が浮かんだ。彼はうつらうつらと神経を休ませた。
浜の空気が動き始めた。その雰囲気を感じて彼は目を覚ました。傍らにアミクスが立っていた。
『パリヌルス隊長、オキテス隊長がもうそろそろだと言っています』
『おっ、そうか。判った』
パリヌルスは起ちあがった、東の空に目をやる、まだ黎明の気配がない、海は凪いでいた。彼はカイクスを伴ってオキテスのもとへと歩を運んだ。
『おう、おはよう。パリヌルス、気分はどうだ。クリテスの言うとおりの天気の気配だ、どうする?もういいな』
『おう、いいだろう。行動を起こそう。カイクスにアミクス、船長たちに伝言だ。出航準備に取り掛かるようにと伝えてくれ』
『はいっ!判りました。ほかに伝えることは?』 と念を押して連絡に走った。
