『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY             第5章  クレタ島  142

2012-10-11 06:50:25 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『判りました。私が知っていることでしたら、お話いたします。どうぞ、お聞きください』
 『尋ねることについて話してくれればそれでいい。お前も知っているとおり、今度の航海はクレタまで島ひとつない海洋を南下するわけだが俺たちにとって初めての海洋なのだ。お前の知恵を借りたい』
 パリヌルスは要望を伝えた。
 『よろしいです。何なりと聞いてください。知っているかぎり話します。どうぞ、、、』
 『いま、我々はミロス島にいる。この風雨、明日 朝にはおさまっているかどうか』
 『この風雨ですが、空を見るかぎり、雨はやみますが風の吹き返しがあります。明日は風のおさまりはなく、西南の風が吹くと思われます。夕刻にはおさまりますが、気温が下がって冷え込めば、明後日の天気模様はよく晴れて風も北からの風なるはずです。風は大陸から降ろしてくる風ではなく、海洋を渡ってくる風です。昼前は余り強くはありません。しかし、クレタに近づくと風は確実に北からの風となってクレタがひきつける風となります』
 『う~ん、そうか。オキテス、お前どう思う?』
 クリテスの話を聞いたオキテスは質問した。
 『この季節、天気は変わりやすい。明後日はいい天気、航海日和になるか。そのうえ一日、その天気がもつかどうかだ』
 『この辺りになると、エーゲ海の北の地方と違って海洋性の気候を帯びています。まだ、この時節 天気の急変はないと思います。あと半月も過ぎれば海の荒れる日が多くなり 雨の降る日もあるようになります』