『それはいいでしょう。今度の航海は天候と風の具合のふたつ、これがクレタに無事着くか着かないかの切り札です。予備知識を持って挑む、それにご両人の航海に関する技術と配慮をもってすれば怖いものなしです』
『オロンテス、お前言ってくれるね。そこまで言われると何んとしても、この航海を、この海を無事に渡らなければならん。お前には大変な仕事を押しつけている、お前がいればこそ、統領以下、我々を含めて民族全体がこの航海に挑んでいける。お前はかけがいのない存在なのだ。統領、軍団長もそうであろうと思うが、オキテスも俺もお前に感謝の念でいっぱいだ。これからも頼むぞ』
『判っています。こちらこそ感謝、感謝です』
彼らは固く手を握り合って意志を通わせた。風雨の中で交わした三人の意志は固かった。
この三人が民族の存亡を賭けた大いなる航海の成否の鍵を握っていたのである。
パリヌルスは近くにいたカイクスに声をかけた。
『おい、カイクス、お前クリテスがわかるか。ここへ呼んできてほしい』
『え~え、わかります。ここへ連れてくればいいのですね』
『おっ、そうだ』
クリテスが姿を見せるまで少々の間があった。
『おう、クリテス、来てくれたか。俺たち三人がわかるな』
『え~、わかります』
『俺たち、クレタへ向けて航海をしているわけだが、天候についてお前に尋ねたいことがある。話してほしい』
『オロンテス、お前言ってくれるね。そこまで言われると何んとしても、この航海を、この海を無事に渡らなければならん。お前には大変な仕事を押しつけている、お前がいればこそ、統領以下、我々を含めて民族全体がこの航海に挑んでいける。お前はかけがいのない存在なのだ。統領、軍団長もそうであろうと思うが、オキテスも俺もお前に感謝の念でいっぱいだ。これからも頼むぞ』
『判っています。こちらこそ感謝、感謝です』
彼らは固く手を握り合って意志を通わせた。風雨の中で交わした三人の意志は固かった。
この三人が民族の存亡を賭けた大いなる航海の成否の鍵を握っていたのである。
パリヌルスは近くにいたカイクスに声をかけた。
『おい、カイクス、お前クリテスがわかるか。ここへ呼んできてほしい』
『え~え、わかります。ここへ連れてくればいいのですね』
『おっ、そうだ』
クリテスが姿を見せるまで少々の間があった。
『おう、クリテス、来てくれたか。俺たち三人がわかるな』
『え~、わかります』
『俺たち、クレタへ向けて航海をしているわけだが、天候についてお前に尋ねたいことがある。話してほしい』
