『トロイからの落人』 FUGITIVES FROM TROY 第６章 クレタ ７

　上陸して一夜を過ごした彼らは、クレタでの最初の朝を迎えた。異国で迎える朝、彼らは先の居住地であったエノスと比べた。
　『うっう～ん、温かい！冬がすぐそこだとは思えない。おい、どうだ？』
　『海の水か、温かいぞ』
　このような会話が浜の各所で交わされた、
　彼らは、朝行事を終えて、波打ち際にたたずみ朝のあいさつを交わしている光景は、エノスの浜の光景と少しも変わっていなかった。
　この光景を目にしたクリテスは驚いた。
　『おっ、クリテスおはよう。何を見て驚いているのだ』
　『あっ、ギアスどの、、おはようございます。みなさん、海に浸かっていますね、そして、頭のてっぺんからつま先まで身体を洗っていまさね。これを毎日やるのですか』
　『おっ、そうだ。俺もこれから朝行事をやろところだ。。お前身も一緒に来い。海水だが、朝これをやるとさっぱりするのだ。その爽快な気分で今日一日を始めるのだ』
　『判りました。一緒にまいります』
　二人は連れだって海に向かった。
　『クリテス、陽の出にはまだ少々間がある。朝行事を終えて支度を整えて、軍団長に挨拶して出かけよう』
　『判りました』