パリヌルスは、もってきている交渉事をできるだけ少ない言葉数でまとめたいと思っていた。言葉が通じるか否かの問題である。日常使用している言語、微妙な言葉のニューアンス、こちらの意思を的確に伝えられるか、どうかが最大の懸念である。言葉が通じない、その時はクリテスを頼るしか方法がない。彼は細かな配慮にも注意を怠らなかった。相手と対峙するスタンス位置にまでこだわり考えて砂浜に位置取りして相手を待った。
彼らとの距離が詰まってくる、互いの表情が読み取れるくらいまでに接近した。
彼らが歩みを止める。クリテスがパリヌルスに身を寄せて二言三言ささやいた。うなづくパリヌルス。彼らの中から一人が二、三歩あゆみでる、パリヌルスも歩を進めた。互いに右手を差し出す、しっかと握り合った。目と目があう、言葉はないが互いの心、パリヌルスの意図する思いが、半ば通じているのではないだろうかと感じられた。クリテスを使ってのアプローチが効を奏しているのではと思われた。
クリテスの父は、SOUDAの浜一帯を取り締まっている人物である。その容貌は眉太く、ほほ骨がはり、強い日差しに焼かれ、潮風にさらされ、引き締まった口元は意志の強さを表していた。
パリヌルスは、一呼吸おいて相手の出方を待った。
『お待たせしましたな、私はこの辺りの浜一帯を取り締まっている浜頭のスダヌスです』
野ぶとく、ややしゃがれた声音である。
彼らとの距離が詰まってくる、互いの表情が読み取れるくらいまでに接近した。
彼らが歩みを止める。クリテスがパリヌルスに身を寄せて二言三言ささやいた。うなづくパリヌルス。彼らの中から一人が二、三歩あゆみでる、パリヌルスも歩を進めた。互いに右手を差し出す、しっかと握り合った。目と目があう、言葉はないが互いの心、パリヌルスの意図する思いが、半ば通じているのではないだろうかと感じられた。クリテスを使ってのアプローチが効を奏しているのではと思われた。
クリテスの父は、SOUDAの浜一帯を取り締まっている人物である。その容貌は眉太く、ほほ骨がはり、強い日差しに焼かれ、潮風にさらされ、引き締まった口元は意志の強さを表していた。
パリヌルスは、一呼吸おいて相手の出方を待った。
『お待たせしましたな、私はこの辺りの浜一帯を取り締まっている浜頭のスダヌスです』
野ぶとく、ややしゃがれた声音である。