『さあ~、者ども!きばれや!風の力が弱くなる。漕ぎかたはじめっ!あと半刻で目的地に着くぞ!気張って、漕げっ!』
彼は大声で叱咤した。
船は、方向を転じて半島の島影を南下した。衰えた風力が船を西へ押しやろうとしている。
『イデオス、どうだ?風の具合だ』
『風は強くない、帆を張っていると西へ流される。帆をおろす』
『判った。すぐおろせ!』
船は漕走で進んで小一時間、すでに日は落ちてしまっている。浜の暮色が濃くなりつつあった。
『頭、左手に見えるのが、目指している浜ではないですか』
この声を耳にしたパリヌルスは『はっ!』とした。暮色を通して左手の浜を見つめた。
『浜頭、あの浜です』
『判った。アクロテス、いいな。やわやわと岸に近づけていけ!判ったな』
『判りました』
船が浜の上陸した地点に近づいていく。クリテスが船を接岸地点に導いた。
浜では、この船に気づいたようである、波打ち際に人影が増えつつあった。船上ではギアスと従卒のトピタスが大きく手を振った。浜に居並ぶ人影が手を振って答えてくる。
船が接岸する。ギアスが飛びおり、連絡に走る。
パリヌルスが声をかけた。
『浜頭、着きました。私どもが上陸した浜です』
『おう、パリヌルス殿、行きましょうや』
『浜頭、私を呼ぶのに『殿』はやめてください。パリヌルスと呼び捨てで結構です』
『それでいいのか。いいだろう、判った』
居並ぶ者たちの中ほどにイリオネスを従えてアヱネアスが立っている。その横にギアスが松明をかかげていた。
クリテスが父の浜頭に統領を紹介した。
彼は大声で叱咤した。
船は、方向を転じて半島の島影を南下した。衰えた風力が船を西へ押しやろうとしている。
『イデオス、どうだ?風の具合だ』
『風は強くない、帆を張っていると西へ流される。帆をおろす』
『判った。すぐおろせ!』
船は漕走で進んで小一時間、すでに日は落ちてしまっている。浜の暮色が濃くなりつつあった。
『頭、左手に見えるのが、目指している浜ではないですか』
この声を耳にしたパリヌルスは『はっ!』とした。暮色を通して左手の浜を見つめた。
『浜頭、あの浜です』
『判った。アクロテス、いいな。やわやわと岸に近づけていけ!判ったな』
『判りました』
船が浜の上陸した地点に近づいていく。クリテスが船を接岸地点に導いた。
浜では、この船に気づいたようである、波打ち際に人影が増えつつあった。船上ではギアスと従卒のトピタスが大きく手を振った。浜に居並ぶ人影が手を振って答えてくる。
船が接岸する。ギアスが飛びおり、連絡に走る。
パリヌルスが声をかけた。
『浜頭、着きました。私どもが上陸した浜です』
『おう、パリヌルス殿、行きましょうや』
『浜頭、私を呼ぶのに『殿』はやめてください。パリヌルスと呼び捨てで結構です』
『それでいいのか。いいだろう、判った』
居並ぶ者たちの中ほどにイリオネスを従えてアヱネアスが立っている。その横にギアスが松明をかかげていた。
クリテスが父の浜頭に統領を紹介した。