一行の乗っている船は、岬半島の端で進んでいく方向を西へと転じた。風が追い風に代わる。浜頭がすかさず大声で指示をとばす。
『アクロテス、帆を上げろっ!』
『おうっ!』 と答えて帆を上げた。続いて指示がとぶ。
『漕ぎかたやめっ!』 船は帆走に移った。
エーゲ海の南、クレタ海は、まさに外洋である。海は強い風にあおられて大きく荒れている。舳が波頭に突っ込む、かぶさってくる波、船中にたまる海水を掻き捨てる。浜頭は方角時板で時を計るどころではなかった。船の航走に、懸命に気を配った。見通しはいい、半島の北面の風景を見ながら、操舵に気を配った。
トロイの民が上陸した浜では、パリヌルスたち四人が出発した後、アヱネアスはイリオネス、父のアンキセス、長老の域に達しようとしているアカテスを呼んで話し合うことにした。課題はクレタにおけるこれからである。先ず我々はこの地で何をするか、何をやらねばならないのか。アヱネアスは統領として為すべきことをどのようにすべきか。そして、その結果が抱いている終極の目標である建国に至る道程に照らし合わせて判断していかねばならない。それがこの四者の話し合いの課題であった。
『アクロテス、帆を上げろっ!』
『おうっ!』 と答えて帆を上げた。続いて指示がとぶ。
『漕ぎかたやめっ!』 船は帆走に移った。
エーゲ海の南、クレタ海は、まさに外洋である。海は強い風にあおられて大きく荒れている。舳が波頭に突っ込む、かぶさってくる波、船中にたまる海水を掻き捨てる。浜頭は方角時板で時を計るどころではなかった。船の航走に、懸命に気を配った。見通しはいい、半島の北面の風景を見ながら、操舵に気を配った。
トロイの民が上陸した浜では、パリヌルスたち四人が出発した後、アヱネアスはイリオネス、父のアンキセス、長老の域に達しようとしているアカテスを呼んで話し合うことにした。課題はクレタにおけるこれからである。先ず我々はこの地で何をするか、何をやらねばならないのか。アヱネアスは統領として為すべきことをどのようにすべきか。そして、その結果が抱いている終極の目標である建国に至る道程に照らし合わせて判断していかねばならない。それがこの四者の話し合いの課題であった。