『おう、お前、これ引きあげてくれ』
彼は傍らの者に仕掛けの引き上げを託した。
船の中で跳ね踊る魚は、メバル(眼張)と言われているカサゴ目の類であろうと思われる、この時代の彼らは、その魚に名をつけて呼んでいたか、いなかったか、それは定かではない。しかし、『食べれる』『旨かろう』の認識で魚を取り扱ったであろうと考えられる。
オキテスに言われて釣り上げた魚は、船上で跳ねている魚とは、姿かたちが違っていた。それはハタ(羽太)と呼ばれている魚の種であろうと思われる魚であった。
『おう、これはそこの魚とは形が違うな、しかし、ちょっと大型だな、でかい!』
『そうですね』この魚に見入った数人の者たちに『これを焼いて食べれば、さぞかし旨いだろうな』と感じさせた。
今度は先のメバルの類の魚に混じって、ハタと思われる類の魚が釣りあがってきた。
オキテスは、各船に目をやった。彼らも釣り作業を大忙しでやっている。四隻の船は大きなメバルの類の魚の群泳に遭遇したのである。その群れの中にハタの類の魚が混じる。各船は予想もしていなかったでっかい釣果に湧いていた。
オキテスは考えた。アレテスたちは、この漁場をどうして知ったか、このクレタに来てまだ日も浅いというのに、それは偶然の魚との出会いであったろうと察した。
彼らは、最初の一匹を釣り上げてから、約1時間半に及ぶ魚のつり上げに奮闘した。このころになって魚の喰いも落ちてきていた。
オキテスは、考えが及んでいなかったことに気が付いた。釣りの仕掛けの予備を造ってきていなかったことである。半数余りの者たちの釣りの仕掛けの針が使いものにならない状態になっていた。針が折れてしまった仕掛け、針がのびてしまって用を為さなくなっているもの、それらを手にしている者たちの得も言われぬ表情を見て取った。彼は、このありさまを見て、仕掛けの予備を造ってこなかったことを悔やんだ。
船中に山になっている魚を見て、彼はマクロスを呼んだ。
『釣り上げた魚の数はどれだけか調べてくれ』
マクロスは、傍らの者に手伝わせて魚の数を調べた。
『隊長、魚の総数は、500を超えています』
『お~お、そうか、目論んだ数の倍を超えている。いいぞ!』
彼は報告を聞いて釣り作業の終わりを告げた。
『おう、皆っ!ようやった。釣果は上々だ。目論んだ釣果の倍以上の成果だ。ご苦労であった、ひきあげよう』
船中で歓声が上がった。
彼は傍らの者に仕掛けの引き上げを託した。
船の中で跳ね踊る魚は、メバル(眼張)と言われているカサゴ目の類であろうと思われる、この時代の彼らは、その魚に名をつけて呼んでいたか、いなかったか、それは定かではない。しかし、『食べれる』『旨かろう』の認識で魚を取り扱ったであろうと考えられる。
オキテスに言われて釣り上げた魚は、船上で跳ねている魚とは、姿かたちが違っていた。それはハタ(羽太)と呼ばれている魚の種であろうと思われる魚であった。
『おう、これはそこの魚とは形が違うな、しかし、ちょっと大型だな、でかい!』
『そうですね』この魚に見入った数人の者たちに『これを焼いて食べれば、さぞかし旨いだろうな』と感じさせた。
今度は先のメバルの類の魚に混じって、ハタと思われる類の魚が釣りあがってきた。
オキテスは、各船に目をやった。彼らも釣り作業を大忙しでやっている。四隻の船は大きなメバルの類の魚の群泳に遭遇したのである。その群れの中にハタの類の魚が混じる。各船は予想もしていなかったでっかい釣果に湧いていた。
オキテスは考えた。アレテスたちは、この漁場をどうして知ったか、このクレタに来てまだ日も浅いというのに、それは偶然の魚との出会いであったろうと察した。
彼らは、最初の一匹を釣り上げてから、約1時間半に及ぶ魚のつり上げに奮闘した。このころになって魚の喰いも落ちてきていた。
オキテスは、考えが及んでいなかったことに気が付いた。釣りの仕掛けの予備を造ってきていなかったことである。半数余りの者たちの釣りの仕掛けの針が使いものにならない状態になっていた。針が折れてしまった仕掛け、針がのびてしまって用を為さなくなっているもの、それらを手にしている者たちの得も言われぬ表情を見て取った。彼は、このありさまを見て、仕掛けの予備を造ってこなかったことを悔やんだ。
船中に山になっている魚を見て、彼はマクロスを呼んだ。
『釣り上げた魚の数はどれだけか調べてくれ』
マクロスは、傍らの者に手伝わせて魚の数を調べた。
『隊長、魚の総数は、500を超えています』
『お~お、そうか、目論んだ数の倍を超えている。いいぞ!』
彼は報告を聞いて釣り作業の終わりを告げた。
『おう、皆っ!ようやった。釣果は上々だ。目論んだ釣果の倍以上の成果だ。ご苦労であった、ひきあげよう』
船中で歓声が上がった。