話を終えた四人は、腰をあげた、静かである、潮騒が耳を打つ。
『軍団長、私は浜を一巡して宿舎へ向かいます』
『あ~、俺もつきあう』
オキテスはパリヌルスに呼応した。
『オロンテス、行こう。俺たちは先に行く』
パリヌルスらは二人を見送った。
『パリヌルス、今日の魚釣りは感動ものだったぜ。興奮がまだおさまっていない。俺の人生でこれまでにしたことのない体験であった。自然と取っ組み合ったわけではないが初めての体験であった』
パリヌルスは『そうか』と頷きながら、オキテスの心境を思いやった。浜を一巡し終えた二人は、宿舎へと道をたどった。彼らがこれだけの時間を費やしたといっても今様時間の午後8時には至ってはいなかった。朝の訪れの遅いこの時期、たっぷりと夜の休息時間があった。
宿舎についたパリヌルスは、いつもの寝場所に身体を横たえた、まぶたを閉じるが眠りの訪れは、まだ先であるという自覚があった。
目を開ける、闇である。彼は眼前の暗黒を見つめた。彼は、闇ではなく何かを見たかった。心気は別の方途を選ばせようとしている。『パリヌルス、何かを描け!』『お前は何を描きたい?』『富国に至るプロセスか』『それとも兵を強くすることか』『どちらも、先に調査ありきだ!』『判っているのか』『いま、構想しても礎なき楼閣の類ではないか』『調査優先の始計だ』
彼は闇を見張りながら自問していた。
闇のなかの声が彼に話しかける。
『お前、何を待っているのだ』『それに遭遇しないと想いがまとまらいのか』
彼の心の声が叫んだ。
『そうだ!』この一言には力がこもっていた。
『待っているものとの遭遇を急いでいるのか』『いや、急いではいない。だが、早いほうがいい』
この思いに至った時、眠気が訪れた。彼は静かに目を閉じる、眠りの深淵に至るのは早かった。
『軍団長、私は浜を一巡して宿舎へ向かいます』
『あ~、俺もつきあう』
オキテスはパリヌルスに呼応した。
『オロンテス、行こう。俺たちは先に行く』
パリヌルスらは二人を見送った。
『パリヌルス、今日の魚釣りは感動ものだったぜ。興奮がまだおさまっていない。俺の人生でこれまでにしたことのない体験であった。自然と取っ組み合ったわけではないが初めての体験であった』
パリヌルスは『そうか』と頷きながら、オキテスの心境を思いやった。浜を一巡し終えた二人は、宿舎へと道をたどった。彼らがこれだけの時間を費やしたといっても今様時間の午後8時には至ってはいなかった。朝の訪れの遅いこの時期、たっぷりと夜の休息時間があった。
宿舎についたパリヌルスは、いつもの寝場所に身体を横たえた、まぶたを閉じるが眠りの訪れは、まだ先であるという自覚があった。
目を開ける、闇である。彼は眼前の暗黒を見つめた。彼は、闇ではなく何かを見たかった。心気は別の方途を選ばせようとしている。『パリヌルス、何かを描け!』『お前は何を描きたい?』『富国に至るプロセスか』『それとも兵を強くすることか』『どちらも、先に調査ありきだ!』『判っているのか』『いま、構想しても礎なき楼閣の類ではないか』『調査優先の始計だ』
彼は闇を見張りながら自問していた。
闇のなかの声が彼に話しかける。
『お前、何を待っているのだ』『それに遭遇しないと想いがまとまらいのか』
彼の心の声が叫んだ。
『そうだ!』この一言には力がこもっていた。
『待っているものとの遭遇を急いでいるのか』『いや、急いではいない。だが、早いほうがいい』
この思いに至った時、眠気が訪れた。彼は静かに目を閉じる、眠りの深淵に至るのは早かった。