『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  286

2014-06-03 07:19:18 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
『おう、それがいい。マクロスに質してみるが、道案内に力を貸してくれたガリタのところのタブタを派遣要請しようと考えている』
 『それは、いい計らいだ。お前に任せる』
 『心得た。何かあればその都度相談する』
 『判った。ところで、ガリダへの礼の件うまくいったか?』
 『おう、その件だが、それがまだなのだ。今日の段取り等の打ち合わせを終えて、明日、俺が出向く。その時に用材調達の件の助っ人派遣の話をまとめてくる』
 『それがいい、よろしく頼む』
 パリヌルスは浜へ、オキテスは広場へと向かった。
 二人は、それぞれの仕事を担当する者たちを集めて、仕事の段取り、調達する用材の規格の詳細等を一同に説明し、用材の調達実行日程を打ち合わせ、仕事の開始を言い渡した。
 次いで、オキテスは、マクロスとソリタンを呼び、明日、ガリダの許を謝礼と助っ人派遣要請の件で出向くことを伝えた。
 『二人とも判ったな。明日、朝、キドニアに向かう舟艇で出かける。いいな』
 『判りました』
 ここに彼らの仕事がスタートした。
 彼らの仕事が多岐にわたる事業計画の第一段階である。心が高ぶり、緊張した。事業推進の核である二人が顔を合わせると、事業の諸事、仕事に関することが話題であった。話は尽きることはなかった。民族全体が一丸となって進める事業が、暦が始まる頃には、パンの事業、漁獲事業、方角時板、風風感知器の二つの製作班、舟艇建造部、そのうえ、築砦及び建物建設班、農作事業班と多岐にわたることになる。これらの事業を統括して進めることになる。
 パリヌルスは考えると同時に成功信不退の覚悟を己の身中に構築するように努めた。富国と強兵、この二策による建国、その前途を想いやった。
 事業に着手して、その結果が見えることもあるが、見えないことのほうが多くあった。見えない恐怖が前進を阻む。この恐怖の駆逐が課題であった。
 彼は、始計第一、あらゆる場面を想定して、未来を覗き視て、見えない不安を取り除くように努めた。