『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  294

2014-06-13 07:05:50 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『そうだな、いちいちでっかい軍船を動かすことも、かなわんことだからな』
 ここまで話して、二人は話題を変えた。
 『なあ~、オキテス、軍団長の一行の身の安全について充分に考えねばならなん』
 『それについては充分な配慮を考えよう。アレテス、お前のところのピッタス、俺のところからはテトス、それで充分かどうかだ。数が多ければいいというものでもないからな』
 『判った。万全を尽くそう』
 案件の申し合わせも終えた。
 『パリヌルス、今日のお前は?』
 『今日の俺か、今日の俺は、日常業務のほかは、小島に出向いて、明日の事の入念チエックだ』
 『俺は、風風感知器の用材調達の件についてやる。方角時板の用材の件もあるから担当をよこしてくれ』
 『判った、よろしく頼む』
 二人はそれぞれ用向きのところへと向かった。
 二人は、なんだかんだと結構忙しい日常をこなしている。だが、忙中に閑もある。課題を掘り起し、対処を考え、智を尽くして、業務をこなしていった。
 パリヌルスは、ハシケで小島にわたった。島では撃剣訓練の声が盛んであった。彼はその様子に見入った。
 アレテスは、2対1の攻めぎ合いの指導をやっていた。攻めの間合いの取り方、そしての打ち込み。そして、攻め込まれる側の身をなって、攻め入る組み方を考えながら教えていた。
 彼らは訓練といえども実戦に使用する剣を使って訓練している。訓練のあとには数人のけが人が必ず出る。『そうか、これを何とかしよう』という想いを胸の内に沸かせた。
 パリヌルスの姿を認めたアレテスは、撃剣訓練の場をから離れて歩んできた。
 互いに『ご苦労』の声がけを済ませた。
 『おうやっているな。アレテス、撃剣訓練の模様を見せてもらった。今日の用件はだな、明日の事について打ち合わせておこうと思ってな。諸点のチエックだ。手がすいたらやろう』
 『判りました。少々お待ちください』
 アレテスは、訓練の場の戻り、主だった者四人を呼びよせ指示を言い渡した。
 『お前らもよく考えてみてくれ。2人で1人を攻める、我らの負けないカタチである。君ら頼みたいのは、攻められる1人が身を護るカタチが、コレといった確かなものがない。それを考えろ。2人に攻められても、やられないカタチだ。それを考えながら訓練をしてくれ』
 アレテスは、簡単には解決できそうにないことを指示した。