『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  302

2014-06-25 07:20:36 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 パリヌルスは、何気なく東の方へ眼差しを向けた。彼は、そこにキドニアから帰ってくる舟艇を目にした。
 彼はオキテスに声をかけた。
 『オキテス、俺、ちょっと浜に行ってくる。夕めしの事だが全員で浜焼きの宴でもと考えている。お前の思いは?』
 『おう、それがいいな。魚を旨いときに食べる、これが一番だ。見たところ魚が有り余るくらいある、それでいこう』
 パリヌルスは、いただきものの小船に乗って浜へと急いだ。ギアスの舟艇の浜への到着のほうが早かった。一足遅れたパリヌルスは、小船から飛び降り舟艇に走り寄った。
 『おう、オロンテスご苦労、話がある』
 『何だ?漁のほうはどうだった?』
 『おう!釣果は上々であった、喜べ。それでだが、オキテスと話をして決めたのだが、今日の夕めしは、浜焼きの宴でどうかということになった』
 『そうか、魚はうまいときに口に入れるのが一番だ。それで準備を整えろというのだな、判った。全員を動員してやる、任せろ』
 『おう、その一言が心強い。ありがとう。おれはこれで、小島に行って来る。アレテスを力いっぱいねぎらってやらなくてはな。あ~、それから、スダヌスらは驚いていたな、あの漁風景に』
 『そんなにすごかったんか?』
 『話は、あとでゆっくりしてやる』
 『判った』
 パリヌルスは小島へとって帰った。パリヌルスは、オキテスに浜焼き宴の支度準備の件を手配したことを伝え、スダヌスと今日のこれからを打ち合わせた。
 『スダヌス浜頭、今夕は、浜焼きの宴で貴方がたを歓待したい、向こうの浜で全員参加でやります。皆さんも全員で参加してください』
 『おう、そうか。全員、喜んで参加する。いずれにしても話は明日だ、夜より賢い朝がいいということだ。しかし、パリヌルス、今日はいいところを見せてくれたな。あの漁風景を見て、俺の肝はつぶれたぜ!全く、お前らに言う言葉が見当たらん。アレが漁を知らないお前らのやることか、ハッハハ!』
 『スダヌス浜頭、漁の結果は見られた通りです。それをどう捌いていくかが、当面の課題です。宜しく頼みます』
 『判った、了解した』
 スダヌスは、拳を固めて、胸を叩いた。