『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  293

2014-06-12 07:29:46 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『まあ~な、それでだが、舟艇用の用材の件についてもガリダと話し合っておいた』
 『そうか、奴らを使おう。それがいい、用材の運搬の事もある。オキテス、ご苦労であったな』
 『まあ~な』
 二人の間の話は終わった。
 明けた朝の打合せでも話し合われた。イリオネスからは、調査隊の編成と調査日程もさることながら行程について話し合われた。話し合いの場にはクリテスが呼ばれていた。
 クリテスの説明によると、陸上を徒歩でクノッソスまでは、1日100スタジオン余り歩いて、6日から7日であり、回路を行けばニューキドニアの浜を夜の明けきらぬ早朝に出航して、ほどいい追い風であれば、早ければ宵のころには、かの地に到着すると説明した。(ニューキドニアから現在のイクラリオンまでは海路では100km余り、陸路では、正確ではないが120km余りである)
 イリオネス一行の調査では、クノッソスを中心に1日余りの徒歩圏内と定めて視察を行う。それに要する日程を3日ぐらいとしていた。クノッソス往復には海路を使い、出入り7日ぐらいとしていた。その7日間を隠し通せるか否かが不明であるが行商人を装って行くことにするということが話し合われた。パリヌルスら3人はそのことを了承した。アヱネアスはというと、4人が話し合うことにじい~っと聞き入っていた。
 風聞によるクノッソスの状況が外部からの見知らぬ者にとって危険があるということが伝えられていた。パリヌルスとオキテスはこのことに気をもんだ。
 『おう、パリヌルス、スダヌスが来るのが明日だな。この件について、スダヌスにそれとなく当たってみてはどうか』
 『それはいいな、話してみよう。判った』
 『それから、海路を行くとなると使用する船は何とする?』
 『今のところ、舟艇を使おうと考えている。それしかない。毎日のキドニアへの用船は、スダヌスに老朽船でもいいから貸してくれる船がないか頼んである。早ければ、明日の来訪の折に曳いてきてくれることになっている』
 『そうか、お前、なかなか手回しがいいな』
 『この間から考えていたのだ。こちらで、もう2,3隻、小船がほしいと思っている』