『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  611

2015-09-14 04:57:14 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『用材を納入したガリダの方もなかなかです。建造が予定されている5船分に充分に対応していますね。これだけあれば、不足するようなことはないと思われます。充分です』
 ハニタスは、テミトスからの報告を受けてオキテスに話しかけた。
 『まだ、帆柱用のの用材が納入されていませんな』
 『そうです。帆柱用のレバノン杉の納入は、この後になります』
 『解りました』
 用材に関する調査は終了した。
 『オキテス殿にオロンテス殿、用材に関する調査は終わりました。少しばかり時間をもらって、整理します。それを終えて、次に建造の場を見せていただきます』
 集散所の三人は、用材の調査結果について、まとめの話し合いをして頷き合った。彼らは調査結果を確認した。オキテスは彼らの調査が手ぬかりなく行われたことを確認した。
 『オキテス殿、調査結果のまとめが終わりました。今日一番の重要な用件なのです。これについて詳しく知っていなければ、ガリダ方との折衝がうまくいきません。用材の材質も上等です。用材量も充分であると思われます。質、量とも申し分がありません。これで造船の原価の算出もできるということです。任せてください』
 『いわれる通りです。理解しています』
 『次に行きましょう』
 彼らは新艇建造の場へと足を向けた。
 一行は、建造の場を見て廻った。彼らは目を見張った。整っている建造の場、作業に携わる者たちの姿も目にした。ハニタスが口を開く。
 『オキテス殿にオロンテス殿、建造の場はよく整っていますな。これなら、いい船ができます。我々もこれまで幾多の造船の現場を見てきていますが、このように整った現場を目にしたのははじめてです。これならいい船が造れる、間違いなしです』
 彼らは作業風景に見入っている。
 『今日は、いい光景を見せていただきました。作業する方たちも懸命にやっています。とてもとてもいい風景です』
 ハニタスのこの言葉に、随行している二人も深くうなずいている。
 『ありがとうございました』
 ハニタスは、オキテスの目を見つめて丁寧に礼を述べた。そこへドックスが姿を見せた。
 『お~お、ハニタス殿、紹介します。この者が新艇の建造を指揮している船棟梁のドックスです』
 『そうですか。私は、このたび建造される新艇のトレードの手伝いをするキドニアの集散所のハニタスです。よろしく』
 ハニタスは、ドックスを見つめて手をさしだした。その手を握るドックス、二人は互いの手を固く握り合った。
 『今日は新艇建造の場を見せていただきました。これなら、いい新艇が出来あがること間違いなしです。私たちも自信をもって、この仕事ができるというものです』