一同から拍手が起きた。
『皆さん!乗船してください』
パリヌルス、オキテス、オロンテスの三人が招客である11人をヘルメス艇上へと導いた。客人扱いを受けたスダヌスが口を開く。
『お前ら、なかなか親切だな』
それを耳にした三人は顔を見合わせた。
パリヌルスは、一同がヘルメス艇に乗ったことを確認して口を開く。
『皆さん!今日は新艇の試乗会に参集いただき誠にありがとうございます。これより出港いたします』
次いでギアスに指示を出す。
『ギアス艇長、出航だ!ヘルメスを出してくれ』
ギアスが声をあげる。
『漕ぎかた、始め!』
櫂が海面を泡立てる、ヘルメスが海を割る、岸壁を離れる、船だまりから外洋へと進む、艇上のギアスが風を読んでいる。
進行右手に見える岬半島の海岸線からは離れてはいるが、その海岸線に沿って東寄りに北上して行く。この頃合いの海上地点では、西からの弱い微風である。ギアスの想いでは岬半島の突端を過ぎれば、北寄りの東からの風が吹いてくると読んで、試乗会の筋書きを描いていた。
船だまりを出て四半刻(約30分)を経て、岬半島の突端ラインにさしかかる。風向きは、ギアスの読み通りである。やや北寄りではあるが強めの東からの風が来た。ギアスは方向転換を決断した。
彼は、漕ぎかた一同と目を合わせる、ためらわず指示を出す、艇尾の操舵担当に声をかける。
『進行方向転換!左へ、西方へ向かえ!』
ヘルメスは大きく方向を変えた。北へ向かっていたヘルメスが90度西方へ進行方向を変えた。
ギアスが声を飛ばす、
『帆を上げっ!漕ぎかた止めっ!』
風の力は、ヘルメスを押すにふさわしい力を持っていた。ヘルメスの中央帆柱に三角に近い台形の帆が展帆する、帆張りは風に順応して風をはらむ、帆は進行方向に対して、やや左方に向いて風をはらんでいる。
ヘルメスは、波を割り、飛沫を飛ばして快走した。
ギアスは進行方向維持のための展帆を決めた。
『艇尾、展帆!』
艇尾の帆が展がる、小型の横三角帆、タテ三角帆ノ2枚である。中央帆柱の帆は順風満帆、艇尾の帆は風向に抗っている。それでいてヘルメスは西方へ向けて快走といえる走りで波を割って航走した。
『ほう、船が風向きのわりに西南に向かっていない』
パリヌルスが風具合と帆の事について説明した。
『風はらみが風向きに順応しやすくできているのです。艇尾の2枚帆が船の走行方向を安定させる働きをしているといえるようです。帆張りの作用で船が安定した走りをします。艇尾の帆の作用は風の強さに左右されます。展帆はその時その時で決めればよいのですから』
パリヌルスは、思いつくままのたどたどしさで説明に及んだ。
『皆さん!乗船してください』
パリヌルス、オキテス、オロンテスの三人が招客である11人をヘルメス艇上へと導いた。客人扱いを受けたスダヌスが口を開く。
『お前ら、なかなか親切だな』
それを耳にした三人は顔を見合わせた。
パリヌルスは、一同がヘルメス艇に乗ったことを確認して口を開く。
『皆さん!今日は新艇の試乗会に参集いただき誠にありがとうございます。これより出港いたします』
次いでギアスに指示を出す。
『ギアス艇長、出航だ!ヘルメスを出してくれ』
ギアスが声をあげる。
『漕ぎかた、始め!』
櫂が海面を泡立てる、ヘルメスが海を割る、岸壁を離れる、船だまりから外洋へと進む、艇上のギアスが風を読んでいる。
進行右手に見える岬半島の海岸線からは離れてはいるが、その海岸線に沿って東寄りに北上して行く。この頃合いの海上地点では、西からの弱い微風である。ギアスの想いでは岬半島の突端を過ぎれば、北寄りの東からの風が吹いてくると読んで、試乗会の筋書きを描いていた。
船だまりを出て四半刻(約30分)を経て、岬半島の突端ラインにさしかかる。風向きは、ギアスの読み通りである。やや北寄りではあるが強めの東からの風が来た。ギアスは方向転換を決断した。
彼は、漕ぎかた一同と目を合わせる、ためらわず指示を出す、艇尾の操舵担当に声をかける。
『進行方向転換!左へ、西方へ向かえ!』
ヘルメスは大きく方向を変えた。北へ向かっていたヘルメスが90度西方へ進行方向を変えた。
ギアスが声を飛ばす、
『帆を上げっ!漕ぎかた止めっ!』
風の力は、ヘルメスを押すにふさわしい力を持っていた。ヘルメスの中央帆柱に三角に近い台形の帆が展帆する、帆張りは風に順応して風をはらむ、帆は進行方向に対して、やや左方に向いて風をはらんでいる。
ヘルメスは、波を割り、飛沫を飛ばして快走した。
ギアスは進行方向維持のための展帆を決めた。
『艇尾、展帆!』
艇尾の帆が展がる、小型の横三角帆、タテ三角帆ノ2枚である。中央帆柱の帆は順風満帆、艇尾の帆は風向に抗っている。それでいてヘルメスは西方へ向けて快走といえる走りで波を割って航走した。
『ほう、船が風向きのわりに西南に向かっていない』
パリヌルスが風具合と帆の事について説明した。
『風はらみが風向きに順応しやすくできているのです。艇尾の2枚帆が船の走行方向を安定させる働きをしているといえるようです。帆張りの作用で船が安定した走りをします。艇尾の帆の作用は風の強さに左右されます。展帆はその時その時で決めればよいのですから』
パリヌルスは、思いつくままのたどたどしさで説明に及んだ。
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