『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  622

2015-09-29 06:11:14 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 オキテスとオロンテス、ガリダ頭領とハニタスらの一行は、集散所の一室に落ち着いた。
 ガリダが口を開く。
 『オキテス殿、いい試乗会でしたな。ハニタス殿、貴方はどう見ておられるかな?』
 『試乗会は、いい催しでしたな。あのようなことは誰でもやれるということではありませんな。私らがやろうとしていることの不明点を知ることができる。そういった点でもいい催しでした。そのように思っています。オキテス殿、いい催しでした』
 『私らが納めた用材で、あのようないい船が造られる。私として誇りに感じる』
 『船舶の試乗会とは前代未聞の催しです。オキテス殿、このあともやられるのですかな?』
 『そうです、このあと、三、四回は催行しようと考えています』
 『それはそれは、私らもめぼしい客を試乗会に招きたい、そのように致します』
 『オキテス殿、あと2回ぐらいは、乗ってみたい。あの壮快な走りが応えられない。洋上を駆ける、そんな思いの楽しさであった』
 『ガリダ殿、判りました。催行が決まり次第、その都度連絡いたします』
 『おう、頼む!』
 ガリダがハニタスに声をかけた。
 『ハニタス殿、本題の話に入ろうや』
 『ガリダ殿、私らが申し入れたこと考えてくれましたか?』
 『おう、考えた。脳漿を搾って考えた。今朝、オキテス殿に俺の考えを話した。このあとの話は、敬称を略して話を進めようや、かたぐるしい』
 『おう、それでいい』
 オキテスもハニタスも承諾した。
 ガリダが話し始めた。
 『ハニタス、集散所がやっている商いだが、君らが紳士的で公正であることは承知している。オキテスともよく話をした。俺としてはだな、乗り気かと問われると、そうではない気持ちがある。だがだ、ハニタス、この際、集散所に仲介の労をとってもらうことに決めた。当事者だけでもいいのだが、俺とオキテス側、そして、集散所の三者でやることにした。オキテス、ハニタス、これが俺の結論だ。そういうことだ。いいか、ハニタス、君の申し入れを承諾する。以上だ』
 『ここは敬称をつける。ガリダ頭領殿、ありがとう。集散所として、この仲介の労をとらせてもらう。オキテス殿、承知されたい。いいですかな』
 『了解しました。宜しく頼みます』
 ハニタスは、テミトスに目で合図を送った。
 酒と酒杯が会同している一同に配られる。一同が立ちあがる、各自の杯に酒が満たされる、ハニタスが口を開く。
 『話し合いがまとまりました。杯の酒を飲み干されたい』
 ガリダが凛とした声をあげる。
 『乾杯!』
 一同が杯の酒を飲み干す、拍手が起きた。
 ガリダ、オキテス、ハニタスの三人は、互いの手を固く握り合った。三者の話は決着した。
 事は、明日の価格決め第一回会合に向けて動き出した。