『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  613

2015-09-16 05:56:22 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『お~、そうですか、なんと試乗会ですか。いいですな。明日は、私もテミトスも手すきです。所長も一緒して乗せていただきます。それはそれは、価格決めの参考になるというものです。了解しました。。今日は、こちらに伺って得ることがたくさんありました。いろいろとありがとうございました。そして、昼食まで馳走になり礼の申し上げようがありません』
 『いえいえ、その様に気を使わないでください』
 『それにしても馳走になりました。食したあの塩漬けの魚は格別においしかった』
 『それは、よかった』
 『アヱネアス殿、こう申し上げて何ですが、新艇建造の用材の事です。用材の良し悪しが船の出来上がりを左右します。命と言って過言ではありません。そして、用材のいいところを生かして造り上げる。ガリダもそのあたりに気を配って、用材を準備し、こちらへ納めたと考えられます。良材です。船棟梁にも会いました。いい船ができます。先が楽しみです。クレタにおける造船の歴史もあり、島の東部地区では、船を造る良材が枯渇してしまっています。アヱネアス統領殿、これを足掛かりにされて事業を起ち上げてください。私どもも、その期待で胸が膨らみます』
 ハニタスは、言葉を選んで述べた。
 『ハニタス殿、その様に言ってくれてありがとう。力を尽くして、いい新艇を造ります。期待してください。力添えをよろしく頼みます』
 『解りました。努めてまいります』
 ハニタスは、イリオネスに体を向けて話しかけた。
 『イリオネス軍団長殿、今日は、いろいろとありがとうございました。昼を馳走になり、そのうえ、船の漕ぎかたたちまでに配慮をいただき誠にありがとうございました。帰途に就く頃合いとなりました。これにて失礼いたします』
 集散所からの一行は浜をあとにした。オロンテスはキドニア行き第2便でキドニアに向かった。
 『おう、オキテス、ちょっと打ち合わせよう。四人でやる』
 『判りました』
 『場は、ここでやる。お前ら腰を下ろせ。統領、いいですね』
 イリオネスが声をかける。
 『おうっ!』
 『オキテス、彼らは、視察の結果についてどのように言っていた?』
 『はい、用材の質については良材であり、造船に適材であるとのことです。用材量については、5艇建造に充分であると言っていました。まず、用材に関しては安心といったところです。建造の場に関しては、なかなか良くできているとの見解を述べていました』
 『ほう、そうか。彼らは、そのように言っているか』