『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  612

2015-09-15 06:06:30 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 ハニタスは一拍の間をおいて、オキテスに話しかけた。
 『オキテス殿、一応、予定した作業が終わりました。イリオネス軍団長に報告いたします。明後日の会合の件についても打ち合わせておきたい、それもありますのでご両人同席してください。行きましょう』
 ハニタスは、報告と用件をイリオネスに伝えるべく、アヱネアスとイリオネスのいる場に戻った。ハニタスが丁寧な話し方で両人に話した。
 『お~お、ハニタス殿、今日の用件は終わりましたかな』
 『はい、終えました。オキテス殿、オロンテス殿、ご両人の案内で用件を済ませました。いや、整った新艇建造の場です。そこで作業をする人たちの姿を見て、これならいいものができると感じました。我々もこの仕事に自信をもって取り組めるというものです。ありだとうございました。この仕事の件について話をいただいたことに心から礼を申し上げます。ありがとうございます』
 ハニタスはそのように言って、用件の報告を済ませた。
 『そうですか。ハニタス殿から、その様に伺って安心いたしました。宜しく願います。ところで二、三、打ち合わせもあります。頃合いは少々早いですが、昼食を準備しています。こちらの席についてください』
 『それはそれは、ありがとうございます。遠慮せずに馳走になります』
 一同が昼食の席に着いた。アヱネアスが挨拶の言葉を述べる。
 『ハニタス殿、そして、随行のお二人、今日はご苦労でした。パンは我が方の工房で焼いたもの、魚も我らが漁で獲り調理したものです、賞味してください。オロンテス、酒を頼む』
 オロンテスは一同の杯に酒を注ぐ、イリオネスが乾杯を告げる、一同は杯の酒を飲み干し、食事に取り掛かった。
 集散所の一同が驚く、パンには馴染みがある、焼いた魚の味に驚いた。大魚の塩漬けである。彼らはそのうまさに驚いた。
 『いやあ~、これはうまい!うまいですな』
 オロンテスが相づちを打つ、
 『そうですか、それはよかった』
 イリオネスが話しかける。
 『ハニタス殿、話したいことは二件です』
 『聞きましょう、話してください』
 『一つは、明後日の価格決め会合の件です。当方からは今日、案内役を務めたオキテスとオロンテスの二人が担当として出席します。もう一件の方ですが、関係者の方を招いて、明日の午後、キドニアにおいて新艇の試乗会を行います。是非、皆さんの試乗をお願いしたい。以上です』