モスクワ市近代美術館所蔵 シャガールからマレーヴィチまで 青春のロシア・アヴァンギャルド展
Bunkamura ザ・ミュージアム 6月21日~8月17日
見るものに心地よい刺激を与えてくれる展覧会である。多少は知っていても、こうしてまとめて見るのは初めてだ。
カンディンスキー、シャガールから始まり、マレーヴィチでその特徴が最も鮮鋭に出てくる。この画家の作品は、絵画のいろんな要素を豊富に組み合わせ、こちらに様々な見方を求めてくるが、それはうっとうしいものでなく、新鮮でうれしいものだ。
ピロスマニのいくつかを見ていると、つい微笑んでしまうが、それは絵を描くことがいかに好きかということが、自然にこちらに伝わるのだろうか。
こういう流れが次第に抽象に向かうと、先日見たばかりのバウハウスを思い浮かべる。事実カンディンスキーなど人の流れもあった。このロシア・アヴァンギャルドの要素がなければ、バウハウスはもっと頭だけの干からびたものになったかも知れない。
ロシア・アヴァンギャルド的なものは、1930年ころからスターリンによって抑圧され、リアリズムのみが許されるようになっていく。
そこで連想するのはショスタコーヴィチで、20年代にあのフレッシュな才能を存分に発揮した交響曲第1番を作り、音楽だから30年に入っても少し弾圧は遅れたのかもしれないが、ジャズを扱ったなかなか面白い作品も書いていた。それがあのような経過をたどったわけで、それはそれでその状況に立ち向かった作曲家の力と結実を示すものなのだが。
先ごろ輸入盤で安くなったこのジャズのアルバム、リッカルド・シャイー指揮コンセルトヘボウのもの(DECCA)を買って聴いたことも偶然にあり、こういうことが頭に浮かんだ。