「カンバセーションズ」(CONVERSATIONS WITH OTHER WOMEN、2005年、米・英、84分)
監督:ハンス・カノーザ、脚本:ガブリエル・ゼヴィン
ヘレナ・ボナム=カーター、アーロン・エッカート
結婚パーティで、出席にあまり気乗りがしなかった40歳手前の男女、昔の恋人同士で、偶然に再会したことから、舞台劇のような会話が始まり、男は未練があり、しだいにしつこくなっていく。女の方は最初うまくいなしていたのだが、どうもそうでもないようになっていく。
やはり、主導権を渡さないうまさは女にある。そしてこの話が、昔の二人の間にあった真実、誤解、あやまち、それが今になり見方を変え、成長した大人の恋として蘇る、なんてことではなく、男女って、人間って、大人になっても未練たらたら、エゴイスティックで、相手と今のパートナーとの関係を出来れば壊したいと思っている。それがわかっていながら、すぐにやめるというわけにはいかない。
そう、現実の関係ってこんな側面が多いだろう。
そしてそれを面白く見せるとなると、工夫が必要ということだろうか。ほとんど全編で、デュアル・フレームという左右に別カメラの画面が二つの正方形で並ぶという方式を使い、二人の会話では、お互いを見るようにしたり(なんか落語のようだ)、話に出てくる過去を写したりしていて、慣れると悪くないし、効果はある。
そう、大人になってもこうなのだ。
ただ最後のところ、画面を注視するとデュアルがデュアルでなくなったように見えるけれど、このストーリーの結末はどうなのか、どちらともとれる脚本ではある。それは意図的なのだろうか。
ヘレナ・ボナム・カーターは、見かけよりも不思議な魅力をもった女、そして結果としてはファム・ファタル、というのははまり役といってもいい。ここでもどうしてという謎を最後まで秘めている。
アーロン・エッカートの演技もさえていて、男の弱さ、いじましさの表現がうまい。