メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

トリスタンとイゾルデ(映画)

2008-07-18 18:51:59 | 映画
「トリスタンとイゾルデ」(Tristan + Isolde 、2006年、米、125分)
監督:ケヴィン・レイノルズ、脚本:ディーン・ジョーガリス
ジェームズ・フランコ、ソフィア・マイルズ、ルーファス・シーウェル、トーマス・サングスター
 
かなり重くて暗い映画かと想像してしまったのはワーグナーによる楽劇の先入見があったのだろう。考えてみれば、あのストーリーは音楽のためにあるからあれで成立するので、そのまま映画ではあまりに単純すぎる。
 
トリスタンとイゾルデは中世に様々な形で伝説として、恋愛詩と広まっていたという以外、知っていることはないので、この脚本がそれらをどう扱ったものかもわからない。
 
それでも、この映画では叙事的な面をしっかり描いているから、話としては不自然でない。マーク王(マルケ王)の描き方もワーグナーよりはむしろ自然だろう。
 
イゾルデはここでも薬草の使い手だが、媚薬は登場しない。そうしたらドラマにならないが、ワーグナーの場合、音楽に集中させるにはそのほうがよかっただろう。
 
ドラマとしてはまずまず、ケルトの世界を背景にした緑がかぶった色調、装置、衣装など、また夜のシーンが多いカメラなどは、及第点だ。
 
主演の二人、トリスタンはミスキャストでないにしても上背がもう少しほしかった。イゾルデはヒロインとして見かけが地味だが、男をリードしていく演技はなんとかこなしている。
 
トリスタンの幼年時役トーマス・サングスターは、名作「ラブ・アクチュアリー」(2003)でドラムをたたき空港で追っかけ劇を演じたあの少年である。

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