「池袋モンパルナス展 ようこそアトリエ村へ」
板橋区立美術館 11月9日~1月9日
20世紀検証シリーズNo.3 として企画されたもののようだ。3年前のNo.1「新人画会展」は大変すばらしいものだったが、No.2 の福澤一郎は見ていない。
昭和の初期に池袋に出来たアトリエ村、そこに集った画家たち、そして間接的に関係している画家たちの作品を集めたもので、こうしてまとめてみるとこの時期の洋画を代表する人たちの多くがここにある。そして名前をはっきりと記憶していない人たちにも優れた作品が多い。
また詩人小熊秀雄のデッサンがあり、これは珍しいがなかなか才能を感じさせる。
あと寺田政明と靉光が並んだ写真、靉光のその後の死を思うと、この明るい写真はなごむ。
なぜモンパルナスというのかと思ったら、ロビーで再生していた番組で、俳優寺田農(寺田正明の息子)の問いに土方明司(平塚市美術館)が答えていたところによると、モンマルトルは上野芸大あたり(確かに丘の上にある)の地位を確立した人たち、それに対してこっちは対抗して低地の池袋だからモンパルナス、というわけだそうだ。
いままであまり見ていなかったものでは、吉井忠、挿絵ならよく知っていた古沢岩美など、当時からこういうレベルに達していたというのも驚きである。
そして、やはり長谷川利行、松本竣介は画才が抜けている。
ここはもっとも交通不便な区立美術館だと思うけれども、企画といい、1階だけで見られることといい、なかなかいいところである。
それに今回の図録、これで1,200円とは、悪いみたい。