つい最近のことです。マンションのエレベーターで声をかけてくださった方がいました。
「ご主人亡くなったんですってね」
「脳梗塞だったそうですね」
と。
思わず私は「えっ?」
「亡くなったのは事実ですが、脳梗塞?」と私は聞いてしまいました。
「えぇ、ご主人がおっしゃっていました」
?
?
?
こんな時、脳梗塞じゃない!と言うべきか否か?
「失礼ですが、どなた様ですか?」と聞きましたら…
「以前、マンションの役員をしていた時にお世話になったEと申します。」と。
それで思い出しました。
10年ほど前、持ち回りでマンションの役員をしていた時のことを…。
このEさんとNさんという女性は不仲で役員会のたびに揉めていたようです。
穏やかな夫は2人に好かれていました。夜間に2人から電話が来ては、彼は仲裁に入っていたのです。
もう面倒くさくなった夫は、ある役員会の時、こう言ったそうです。
「私、今療養中なんです」と。
これで、2人ともおとなしくなると思ったのでしょう。
「そんなにお元気なのに、どこが悪いのですか?」と聞かれ、調子に乗って、「脳梗塞なんです…」と、あまり嘘をつかない夫が言ったのだそうです。
それからおとなしくなったそうです。
まだ病気とは縁遠い時のことです。
そんなことを思い出させてくれたEさんでした。
脳梗塞疑惑は解きました。
まだまだ夫がいない生活には慣れません。