被災された方々が、一日も早く平穏な日々を送れますように。
遅くなりました。
そしてこんな時にこんな内容で、とも思いましたがupしました。
またまた脱線しています。
しかもあの件にふれた内容です。
なので閲覧注意です。
問題あれば消します。
OKな方のみ閲覧注意で↓
これもまた別の世界の話。
楽屋で珍しく二人きり。
お互い話をする訳でもなく思い思いに好きな事をして過ごす。
俺はゲーム。
そして大野さんはソファに横になって仰向けでスマホを眺めている。
いつもと同じように。
いつもと同じ光景で。
シーンと静まり返った部屋に
部屋の外から聞こえる雑音と、そしてゲーム音だけが鳴り響く。
「したいの?」
「……え?」
そんないつもと変わらない状況の中。
突然大野さんが口を開いた。
「結婚」
「……」
その突然の言葉に。
主語も何もないその言葉にびっくりして聞き返すと
大野さんはスマホから目を離さず何でもない事の様にそう言った。
まさか。
「……」
「……」
まさか。
あなたの口からそんな言葉が出てくるとは夢にも思わなくて
突然のその言葉に絶句した。
「ま、俺には関係ないけど」
「……」
でも、もし。
もし そうなったとしたら。
あなたは、どうする?
あなたは、どうなる?
この世界に何の未練もないあなたの事だから、と
その先の言葉が言えないままでいると、俺には関係ないけどと
少し冷めたような口調でそう言った。
関係ない?
本当に?
関係ない?
「でも、もししたら…」
「え?」
「……辞める でしょ?」
だから確かめたくて。
そう恐る恐る聞くとあなたはスマホから目を離し俺を見た。
もしそういう事があったら、これ以上続けるのは無意味だとそう言って
何の躊躇いもなくあなたはこの世界から去ってしまうかも知れないと、ずっとそう思っていた。
「ふふっどうかな?」
その綺麗な顔で俺を試すようにそう言って笑う。
「俺はそんなのヤだよ」
だけど。
身勝手だってわかってるけど、大野さんに訴えるようにそう言うと、
大野さんはおもむろに起き上がってゆっくりとこちらに歩いてきたかと思ったら
俺の座っているソファのへりの部分に座った。
「ニノはどうして欲しい?」
そしてやっぱり俺を試すように静かにそう言って俺の顔を見た。
その真っ直ぐに注がれる視線から目を離すことができない。
そして座ったままゆっくりと持っていたスマホをテーブルの上に静かに置いた。
その手を見つめる。
自分とは全く違う手。
細くて長くて綺麗な指。
昔からこの手がずっと好きだった。
だからいつもその手に触れていたくて触っていた。
眺めたり
掴んだり
握りしめたり
それをいつもあなたはこの手の何がいいのって顔をして不思議そうに見ていた。
「ごつくなったね?」
「んふふっそう?」
その静かな眼差しで見つめられているのが恥ずかしくなってきて、誤魔化すようにそう言うと
美しいものに全く無頓着で執着がないあなたは気にする風でもなく、そう言って笑った。
釣りをしているせいか昔に比べると随分たくましくなったけど
それでもやっぱりこの手が好きだと思う。
「そうだよあの白魚のような手が好きだったのに」
「白魚のような手?」
そう文句を言っても気にするわけでもなく、くすくす笑っている。
その顔も好きだなと思う。
そう。
なぜか俺は昔からこの人の事が好きだった。
あまり人には興味がなかったけどこの人だけは別だった。
ジュニアの頃は今と違って簡単には近づけないような、そんな雰囲気を持っていたけど。
いや今もその本質はきっと変わってはいないのだろうけど。
それでもずっと好きだった。
そしてそんな孤高のような存在だったあなたとどうしても仲良くなりたくて
ガンガン話しかけて、くっついて、手を握って。
そして慣れてきたらふざけている振りをしてキスする真似をして、抱きついた。
「今は嫌い?」
「嫌いじゃないけど…」
「けど?」
「黒くてごつくなった」
それでもやっぱり好きな手。
そんな事知ってるくせに。
そう思いながら憎まれ口をたたいた。
「……」
「……」
「ニノのしたいようにすればいいよ」
そしてまた俺の事を黙って見つめていたかと思ったら、
そう言ってふっと笑って俺の顔に手を伸ばしてきて頬に触れた。
それを何もできず、されるがまま見つめる。
いつもそうだ。
いつも。
俺が言いたい事を言ってやりたいことをやっているように見えて
本当は手の上に転がされているのは自分自身なのだ。
したいようにすればいい。
そう言ったけど、でももしそうしたらあなたはきっとこの世界から去るでしょ?
他のそうなりながらも続けているグループもあるけどあなたはそうはしないでしょ?
それが分かるから。
それが想像つくから。
だから、何も言えない。
あなたのいない嵐なんて嵐じゃないから。
もちろんほかのメンバーでも同じことがいえるけど。
でもあなたはやっぱり別格だと思う。
こないだのuntitled一つをとっても違う、と思う。
やっぱりダンスも歌も大野さんでないとダメだと思うし
あのパペットダンスは大野さん以外他の誰もがやってもああはならないだろうと思う。
昔から音楽もダンスもレベルは一人格段に上だった。
そして自分たちをいつもリードし牽引してきた。
それはずっと昔も今も変わらない。
ダンスだってこの人がいるからこそ引き締まるのだ。
ここぞという時にセンターで踊るから、より映えるしより綺麗に見える。
歌もここはという場面であなたがソロで歌うから曲としてもレベルが格段に上がる。
この人がいるのといないのではダンスも歌も全体の出来上がりが全然違う。
ソロの部分が曲全体を引き立てる。
ユニゾンが相手の技量以上のものを引き出させる。
そしてあなたしか表現できないフェイクがある。
あなたの声で、歌で、音楽が変わる。
あなたの踊りでダンスが変わる。
そのあなたがいなくなったらどうなる?
静かに見つめる視線から目を離すことができずにいたら
あなたは意味深な表情を浮かべ顔をゆっくりと近づけてきた。
視線を外すことができない。
そしてあっと思った瞬間。
大野さんの唇が俺の唇に重なった。
カッと身体中が熱くなる。
身体が信じられない位の熱量を持つ。
自分でも顔が真っ赤になっていくのが分かる。
いやキスなんて今まで何度もしたことある。
コン中であったり、ふざけあっている時だったり。
自分からけしかけたり。
遊んでいたり。
だけど、今は違う。
気が動転して何も言えないでいる俺に、大野さんはいたずらっ子みたいな目でニッと笑った。
なぜ。
こんな時に。
こんな状況で。
なぜか、こんなことをしてくる。
そしてそんな大野さんに、俺は翻弄される。
俺があなたの事をずっと好きだったのを知っているくせに。
そう思いながら。
そんな事を突然してくる大野さんが、少し憎らしい。
「ズリイよ…」
「ふふっ黒くてごついなんて言った仕返しだよ~」
「バカじゃね…」
その綺麗な顔でいたずらっ子みたいに言って、ふふっと笑う。
その姿に自分の心がまた翻弄されるのがわかった。
そしてその姿を見ながら、昔夢中で追いかけていた時の事を思い出す。
何とか近づきたくて必死だったあの頃。
ずっと好きだった人。
ずっと憧れていた人。
ずっと追いかけていた人。
そして、それは今も変わらない。
翔ちゃんがいるから自分の気持ちに蓋をして、
他を頑張ってみているだけだ。
だから。
全然仕返しになってねえし。
部屋の外ががやがやとだんだん賑やかになってきて
仕事を終えた3人がお疲れお疲れなんて言いながら、部屋に入ってきた。
そしていつの間にか大野さんは何事もなかったかのように
さっきまで寝っ転がっていたソファに、同じように寝っ転がっている。
いつもの光景。
でも。
「なんかあった?」
「え?」
「顔赤いよ?」
「部屋暑い? 温度下げる?」
俺の顔が赤いせいか何なのかみんなが口々にそう言ってくる。
そして大野さんを見ると我関せずと言った感じで素知らぬ顔でスマホを見ている。
こっちはまだ胸がドキドキしていて身体だって熱いのに。
そう思いながら、そっと自分の唇に手をあてるとまだ大野さんの唇の感触が残っていた。
でもそれをみんなに気づかれないように、大丈夫大丈夫なんて言って
ゲームに夢中になっているふりをする。
「なんかあった?」
「別に」
「ふうん」
でも翔さんは何かを感じているのだろうか。
何か言いたげな表情を浮かべている。
でもそれに気付かないふりをしてゲームに集中した。
そう。
いつも大抵の事には緊張なんてしない。
どんな大物に会っても
どんな状況になっても
どんな状態でも。
動揺したり、自分を見失ったりなんてしない。
でも、この人は、別。
この人だけは、別。
ゲームに集中しながら
ゲームに集中しているふりをしながら
ずっと
その人の事を
その人の手を
その人の唇を
その人の言った言葉の意味を
ずっと
ずっと
考えていた。
家に帰りシャワーを浴び、部屋着に着替えると珍しくピタッとくっついてくる。
何かあったのだろうか。
自分から誘ってきたし。
それに普段あまり動じる事のないニノの様子もおかしかった。
それにひどく疲れているように見える。
相変わらずピタッとくっついて、何も言わずグラスを傾けている智くんの姿を見つめた。
何も考えていないようで結構色々な事を考えている人だから。
考えすぎて疲れきってしまっているのだろうか。
ぼんやりとついているだけのテレビを眺めている。
その姿を見ながらもしかしたら、と思った。
今は昔と違って色々な情報が簡単に目に入ってくる。
見たくないことも。
知りたくないことも。
聞きたくないことも。
だからもしかして…
「ニノが…」
「ニノ?」
そんな事を思っていたらぼんやりとテレビを眺めていた智くんが小さく口を開いた。
「うん、ニノに…」
「ニノに?」
「……ニノは、さ」
「うん?」
「みんなも…」
「……」
それだけ言うと黙り込んでしまった。
そしてやっぱりそうか、と思う。
結局話の核心には触れることはなかったけど、
でも智くんがそれ以上何も言わなかったから
だから何も聞かなかった。
ただピタッとくっついて来るその華奢な身体に寄り添う。
そして
しばらくグラスを傾けていた智くんがウトウトし始める。
寝室に行って寝よっか、と声をかけると
素直にうんと頷いたので寝室へと連れて行った。
あまり考えていないようで考えている人だから。
いっぱいいっぱい考えて疲れてしまったのだろうか。
ベッドに入って目を閉じたと思ったらすぐに小さな寝息が聞こえてきた。
もうすぐ20周年。
考えなくてはならないことがある。
考えていかなければならないことがある。
嵐としての将来の事。
自分たちの今後の事。
変わっていくこともある
変わらないこともある
変わらざるを得ないこともある
変えられないこともある
そして
これまでの仕事の事
これからの仕事の事
そして
過去の事
現在の事
未来の事
年齢を重ねるとともに、移りゆくこと。
そして変化していくもの。
そしてそれは仕事だけじゃない。
プライベートなことも色々考えなくてはならない時期に入ってきている。
いつも考えてないようで考えている人だから。
リーダーはあだ名と言いながらもリーダーとしての考えを持っている人だから。
だから考え過ぎて疲れきってしまったのかもしれないと思いながらその顔を見つめる。
そしてその頬に手でふれるとうっすらと目を開いた。
「ごめん、おこした」
「ううん」
慌てて謝るとじっと見つめてくる。
そして、おいでという風にゆっくりと手を広げてきた。
だからその身体におさまるように身体を近づけると
引き寄せられるように両手を回してきてぎゅっと抱き着いてくる。
その身体を強く抱きしめる。
そして。
その華奢な身体を抱きしめながら、だんだんと過渡期に入ってきているのかも知れないと、
ぼんやりとそう思った。
この先色々な事が変わっていく時期なのかも知れない。
仕事のことも。
プライベートなことも。
でも。
それでも。
この先どうなろうともこの人のそばにいたいと思う。
この人の姿を追っていきたいと思う。
この人を守っていきたいと思う。
それはこの人が好きだから。
ずっと好きだから。
それはこれからもずっと変わらないと思うから。
だからどんな形になろうともずっとこの人を見ていたいと思う。
ずっと一緒にいたいと思う。
そう思いながらその額にお休みと言ってちゅっとキスをすると
物足りないというように首に手を回してくる。
だから求められるように頬に首筋に唇にとキスを落とす。
そして。
視線が合うと、またあなたはもっとというように求めてくる。
だからそれに応えるようにゆっくりと唇を重ねる。
そして。
抱き合って。
何度か角度を変え唇を重ねて。
あんまり考えすぎて疲れないでと願いながらまた強く抱きしめて。
そのまま深いキスをした。
そして更新楽しみにしていると言って下さって嬉しいです。
こっそり読んでくださるのもコメントも嬉しいです(^ ^)
今回の話は、自分自身の気持ちを消化するためでもあったのですが、
繊細に書かれていると、そして穏やかな気持ちになったと言って下さって嬉しいです。ありがとうございます。
そうなんですよね、つい人間である事を忘れてしまってふわふわしてしまうのですが
今あるこの時間を大切にしなければいけないですね。
ウルトラフェス良かったですね。やっぱりTruth大好きです。最高です。
あの魅せてくれる姿を見るとモヤモヤも吹っ飛びますね!
何度も読み返して下さってるのですね、探すのも楽しい(どんなシーンか凄く気になりますが)と言って下さって嬉しいです。
ありがとうございました♪
今回のお話はまさに今の嵐さん、そしてファンの中にもある微かな不安とか悩みなどがとても繊細に書かれていて、最初の結婚のワードにはドキドキしましたが、読み進むうちに逆に落ち着いてきて、穏やかな気持ちになることができました。嵐さんも人間ですから(たまに忘れる)これからのことは分かりませんが、本当に今のこの時間を大切にしたいですね。最近の智くんの露出の少なさに、気持ちが晴れない日々でしたが、ウルトラフェスのTruthがすべての霧を晴らしてくれました(*^^*)ちゃんとこうして魅せてくれることを、楽しみたいと思います♪そしてきらりさんのお話、何度も読み返していますよ。ふと、「あのシーンが読みたい」って思って、探すのも楽しいです。
実はこの話を書いたのは8月4日ごろ、モルディブだの何だの言われている時だったので、
今読むと何の事かと思ってしまいますよね。
ちょっとぼかして書いてますし。
それに表に出していいものか悩んで、寝かせていたので今更感半端ないですし💦
でもきっと今後もあり得るだろうし、と思って出してしまいました。
本人たちもあまり年齢を感じさせないので、つい若い頃のままの感覚でみちゃいますよね。
クリニック院長の話私も読みました〜大きなお世話ですよね。
お手入れをするのは大切かも知れませんが、変に何か手を加えるより自然がいいです。
今のままで十分。スタイルも保ってますし歌もダンスも進化し続けていますし若い頃には若い頃の、今は今の年齢を重ねた素敵さがありますよね。
嵐さんたちを好きになる前は、コンサートとかに行ってもそれほど夢中にもなれなくてつまらなかったのですが
今は嵐さんたちの素敵なステージに夢中になってテレビで楽しませてもらってと、本当に幸せです。
細やかな描写だと、そして考えさせられる話だと言って下さって嬉しいです。
それに素敵な話だとも。凄く嬉しいです。こちらこそ本当にありがとうございます♪♪
話は変わりますが、某クリニック院長が嵐メンのルックスについて語る記事がありました。要は手入れをしている松潤以外衰えているという内容ですが、若作りして昔のルックスを保つことばかりが重要ではないような。勿論、いつまでも素敵で居てほしいけど、整形は嫌だし、松潤の毎日が大変そうで全員に強制するのは気の毒なような。嵐さんがどうなっていくのがいいのか、平凡な一ファンには分からないけど、智っさんに関しては、ライブなどで見る限り、歌も踊りもレベルアブしているから、変化していくのもありだと思います。まあ、他のグループのようにメンバーが結婚して子供が可愛い~なんて話になったら、さすがにショックを受けそうですが。ファンは黙って見ているしかないと思っているので、好きなうちは精一杯応援して、見ているだけで幸せな今の時間を大切にしたいです。
今回、とても細やかな描写で、本当に考えさせられるお話でした。でも、最後は愛があって素敵なお話でした。いつもありがとうございます。それではまた。