自分が今 生きているのは
先祖が自分の中に 生きているからだ
お寺で一番忙しいお盆が始まります。
縁ある人、今は縁のなかった人も、みな平等にお迎えして、
ご供養するのがお盆の行事です。
とてもいい言葉に出会いましたのでご紹介します。
ご先祖さまの石並べ
ある夏の日のことでした。8月12日、お盆に入る日の前日のこと。
30代のお母さんと、小学校3年生ぐらいの女の子が、墓地のある木陰でしゃがみこみ、
なにやら石を並べています。側には水の入ったバケツがありましたから、お墓の掃除にみ
えたのでしょう。
「 これリサちゃんの石 」 お母さんが白っぽい石を置きます。
女の子の名前は 「 リサ 」 というようです。
「 リサちゃんが生まれたのは、おとうさんとおかあさんが出会ったからよ 」
お母さんが青い石を二つおき、木の枝で線を引きます。逆三角形で三人が結ばれます。
「 それからね、お父さんにもお父さんとお母さんがいて、お母さんにもお父さんとお母
さんがいるでしょ 」 「 おじいちゃんとおばあちゃんでしょ 」
「 そうよ 」 お母さんは四つの石を並べ、線で結びました。
「 そのおじいちゃんとおばあさんにも、お父さんとお母さんがいたのよ 」
今度は石が八つ並びました。
「 その大きいおじいちゃんとおばあちゃんにも、お父さんとお母さんがいたのね 」
今度はリサちゃんが石を十六個並べました。
「 お母さん、そのまたおじいちゃんとおばあちゃんにも、お父さんとお母さんがいるの
ね 」 「 そうよ 」
「 今度は三十二個ね。」「 でも、石と石がくっついて、もうこれ以上並ばないわ 」
「 そうね 」
「 いつからこうなってるの 」
「 うーん わからないわ。ずっと昔からよ。
でもね、リサ、こうしてご先祖さまが命のリレーを続けてきたお蔭で
今の私たちがあるのよ 」
「 ふーん 」
「 たとえばね、このなかの誰かがいなくなったとするわよ… 」
そう言ってお母さんは、リサの曾おばあさんの石をつまんではじき出しました。
「 曾おばあさんがいないと、おばあさんがいない、と、 お母さんがいない。
ということは、リサも生まれてこないのよ 」
「 ふーん 」
「 人はみんな、こうした命のリレーでご先祖さまとつながっているのよ 」
「 ふしぎ ! 」
「 そうよ。その不思議なご先祖さまのリレーにありがとうって、手を合わせるのが
お盆よ 」
「 ふーん 」
「 じゃあ、これからお父さんのご先祖さまのお墓の掃除に行きましょう。
それから、すべての人のご先祖さまにも手を合わせましょうね。 」
バケツを手にした親子は炎天下の墓地に向かって消えて行きました。
お盆という行事を見事に表現していると思います。
先祖が自分の中に 生きているからだ
お寺で一番忙しいお盆が始まります。
縁ある人、今は縁のなかった人も、みな平等にお迎えして、
ご供養するのがお盆の行事です。
とてもいい言葉に出会いましたのでご紹介します。
ご先祖さまの石並べ
ある夏の日のことでした。8月12日、お盆に入る日の前日のこと。
30代のお母さんと、小学校3年生ぐらいの女の子が、墓地のある木陰でしゃがみこみ、
なにやら石を並べています。側には水の入ったバケツがありましたから、お墓の掃除にみ
えたのでしょう。
「 これリサちゃんの石 」 お母さんが白っぽい石を置きます。
女の子の名前は 「 リサ 」 というようです。
「 リサちゃんが生まれたのは、おとうさんとおかあさんが出会ったからよ 」
お母さんが青い石を二つおき、木の枝で線を引きます。逆三角形で三人が結ばれます。
「 それからね、お父さんにもお父さんとお母さんがいて、お母さんにもお父さんとお母
さんがいるでしょ 」 「 おじいちゃんとおばあちゃんでしょ 」
「 そうよ 」 お母さんは四つの石を並べ、線で結びました。
「 そのおじいちゃんとおばあさんにも、お父さんとお母さんがいたのよ 」
今度は石が八つ並びました。
「 その大きいおじいちゃんとおばあちゃんにも、お父さんとお母さんがいたのね 」
今度はリサちゃんが石を十六個並べました。
「 お母さん、そのまたおじいちゃんとおばあちゃんにも、お父さんとお母さんがいるの
ね 」 「 そうよ 」
「 今度は三十二個ね。」「 でも、石と石がくっついて、もうこれ以上並ばないわ 」
「 そうね 」
「 いつからこうなってるの 」
「 うーん わからないわ。ずっと昔からよ。
でもね、リサ、こうしてご先祖さまが命のリレーを続けてきたお蔭で
今の私たちがあるのよ 」
「 ふーん 」
「 たとえばね、このなかの誰かがいなくなったとするわよ… 」
そう言ってお母さんは、リサの曾おばあさんの石をつまんではじき出しました。
「 曾おばあさんがいないと、おばあさんがいない、と、 お母さんがいない。
ということは、リサも生まれてこないのよ 」
「 ふーん 」
「 人はみんな、こうした命のリレーでご先祖さまとつながっているのよ 」
「 ふしぎ ! 」
「 そうよ。その不思議なご先祖さまのリレーにありがとうって、手を合わせるのが
お盆よ 」
「 ふーん 」
「 じゃあ、これからお父さんのご先祖さまのお墓の掃除に行きましょう。
それから、すべての人のご先祖さまにも手を合わせましょうね。 」
バケツを手にした親子は炎天下の墓地に向かって消えて行きました。
お盆という行事を見事に表現していると思います。