このたび、「西根の家(山形県長井市)」が第37回東北建築賞作品賞に内定いたしました。
自分の山の木を使って家を建てるという現在では稀有なご縁を頂いた建て主さま、施工いただいたマルニ建工さま、設計協力いただいた大類真光さま、このプロジェクトにかかわった多くの方々に感謝申し上げます。自分の生まれ故郷で取組んだプロジェクトがこのような名誉ある賞を頂けたことは、嬉しさと同時に身が引き締まる思いです。今後の励みにしつつ、「風景が生きる建築づくり」に引き続き取組んで参ります。
https://www.kensetsunews.com/archives/28845
西根の家
【 所 在 地 】山形県長井市
【設計監理】渋谷達郎+アーキテクチュアランドスケープ一級建築士事務所
設計協力:大類真光建築設計事務所
構造:鈴木啓/ASA
【施 工】㈱マル二建工
製材:㈲渡部製作所
電気:㈲手塚電気
機械:㈱遠藤設備
建具:㈲齋藤木工
木製サッシ:アルス㈱
暖房:渡辺ヒーティング㈱
左官:原田左官工業所
内装:㈱尚古堂
東北建築賞作品賞は、東北地方においてその建築文化や環境形成の向上に貢献し、地球環境時代に相応しい優れた建築作品を顕彰することにより、東北地方における建築水準の発展に寄与し、学会と地域社会との交流を図ることを目的とされております。
(審査講評)
この住宅は、現代における雪国の農村集落における住宅のあり方をシンプルに体現していることが評価されました。除雪の負担となっている長い引込み道(序口)を短くし、前面道路と平行に建物を構えることで、伸びやかな屋根の姿が強調されています。外装には杉板が貼られ、杉材の縁側も軒下の心地よい風景を作り出していす。前面道路からの視界は、盛土によってほどよく遮断されていまが、垂木が表しになった室内からの空間的な広がりは十分に確保されています。建具の納まりがディテールまでよく検討されていることも評価されたポイントの1 つです。加えて、この住宅にはペレットストーブや地元メーカーの木製サッシが採用されていますが、冬季の温熱環境やコスト、夏季の風の抜けや開け放たれた窓辺の風景など、適切に考慮されていることも好感が持てました。ストーブ、木製サッシ、散水消雪システムは、設計者が過去の数々の住宅設計でも試行錯誤しながら採用してきた経緯もありますが、西根の家はその集大成のような位置付けであるようにも感じました。
http://news-sv.aij.or.jp/tohoku/kentikushouhtm.htm