さて1979年は暖冬かどうかだが、やはり暖冬である。ただ1月中旬からの強い寒気がこの印象を薄れさせているかもしれない。
さて本来は統計処理し無ければ解らない事なのだが、漠然と07年のようにフラットな暖冬と、89年のようにいつも通りのへこみを見せながら平均が高いタイプの暖冬があるようだ。79年は89年に似ていると言える。
さて積雪量だが、ここは93年に似ていて雪がまとまっているが、最深積雪が10センチ程度だ。小雪なのは確かだ。
さてなぜ暖冬だと小雪になるのかだが、西高東低の気圧配置が生み出す西風が、日本海かの蒸気を運んで日本上空で雪となるからだ。このとき等圧線の間が狭い、つまり高気圧と低気圧の差が大きいほど風が強くなり、日本海からの蒸気を多く運ぶ。
要は何らかの原因でシベリア高気圧団の勢力が弱かった年が暖冬になっている。エルニーニョや地球温暖化とも言われている。ここではっきりしているのは、73、93、07はエルニーニョが発生している(07はエルニーニョ発生期間が5か月で正式にはエルニーニョではない)、79、89年はエルニーニョではなかったという事だ。
エルニーニョと地球温暖化は関係あるのかどうかは解らないが、気候の問題は、単純でない事だけは確かだ。
ただ地球温暖化の影響で暖冬になるというなら、ここ20年にもっと頻発しても良さそうだが、以外とバラけている。
さて89年の、春から夏までの温度変化を見る。そんなには暑くない夏だった事が解る。フツーの年だ。
1989年の最高気温と日照時間だが、まあまあだ。
それでは1979年の夏はどうかという事になる。お盆近辺に30度超えた日がある程度で、過ごしやすい夏だったようだ。
6月中旬から天候不順が続いているのが解る。8月中旬の天気の持ち直しが解る。気温はやや低めに推移している。
73年は、普通の夏だったようだ。7月下旬から8月上旬に気温の低い時期があるが、冷夏ではない。
日照時間もある。
さてここで93年を飛ばして07年。6月中旬から暑い日が目立つが、7月から8月にかけてらしくない天気になっている。特に8月上旬から中旬にかけての気温が低い。
日照で見ると夏の日照時間が少ないのがよくわかる。天候不順の夏であったようだ。
さて最後に93年の夏だが、記録的な冷夏になっている。5月の下旬からずっと気温が低いままだ。
日照時間も全体少ない。これは年間日照時間の少なさで歴代一位、月間日照時間でも1月に4位の記録だ。1月に日照が少なかったのに気温が高かったという、異常さがよくわかる。
さてこの93年だが、昨年ある意味日本最悪の年だったので影が薄くなったが、阪神大震災・オウムサリン事件、そして作況指数30の大冷害の年だ。
暖冬の年が冷夏になるのかと言えば、ここまで見た所では5件のうち3件が冷夏と言えそうだ。73年と89年は普通の年と言っても良いだろう。エルニーニョとの関連はここでははっきりしない。
冷夏と言えば冷害の話しになるが、73年の作況指数が解らないが、盛岡で見る限り79年が105、89年が100、93年が30、07年が99となっている。極端な93年以外では冷夏と凶作の間にははっきりしたさが無い。
しかしここには2重にマジックがある。稲の品種の移り変わりが解らなかったが、73年には藤坂系の稲の品種が多かったのではないのか。イモチ病にとても強く冷害に強い品種だった可能性がある。79年もそうだったのではないのかと思われる。93年は、イモチ病に弱いササニシキが主力品種で、多収を狙って肥料を多く与えすぎていたのが冷害の傷を広げた。07年は、この反省からイモチ病に強いひとめぼれに品種が移っていた事と、品質向上のために肥料管理が厳しくなっている。いずれ稲の品種の問題がある。
次が稲の生理的な問題だ。6月に寒くて生育不調になっていても、8月中旬の開花期に気温が高ければ大きく減収する事は少なくなるからだ。この意味で79年と89年はエルニーニョの影響が無く、8月中旬にきっちり気温が高かったので減収にはならなかったのだ。07年もその傾向にある。
少ない例からだが、エルニーニョがあって暖冬で冷夏になる可能性はある。エルニーニョが無い場合でも暖冬になる事があるが、冷夏になるかどうかは解らない。暖冬という現象はここ近年に多いという訳ではない。なので地球温暖化との関連付けは出来ないだろう。
今年は冷夏にはならない可能性が高い。これだけは言えるだろう。