どうでもいいこと

M野の日々と52文字以上

色々矛盾がある

2017-06-01 01:19:23 | 日記

 

アメリカで、通勤列車の中でムスリムの少女を罵倒した男がいた。少女と引き分けて、男をなだめようとした男性3人がナイフで襲われ二人が死亡、一人が重症という事件がアメリカであった。

暴言を受けた女の子の母親など複数の目撃者によると、容疑者は「ムスリムはみんな死ね」などと怒鳴り、刺された男性たちは「小さい女の子にそんなこと言うな」などと言いながら割って入ったという。」

少女たちはラマダン初日ということでヒジャブを被っていた。敬虔である。

とても酷い事件だ。

この男の公判があった。BBCの記事だ。写真を見る限り、かなりな狂人だ。

事件は26日午前、ジェレミー・クリスチャン容疑者(35)が通勤列車で16歳と17歳の女性に向かって、イスラム教徒への差別的暴言を浴びせ続けることで始まった。容疑者と女性たちの間に、タリーシン・ムルジン・ナムカイ・メシェさん(23)とリッキー・ジョン・ベストさん(53)、マイカ・デイビッド・コール・フレッチャーさん(21)が割って入ったところ、容疑者に刺された。ナムカイ・メシェさんとベストさんは死亡し、フレッチャーさんは重傷を負った。」

容疑者はヘイトクライムではなく、殺人・殺人未遂・威圧・武器の所持などの疑いで訴追されたが否認し、「お前らはテロと言うが、自分にとっては愛国だ」、「アメリカの敵に死を」などと怒鳴った。さらに、「言論の自由だ。俺たちの自由がいやならこの国を出て行け。アンティファに死を」と叫んだ。「アンティファ」とは「anti-fascist」の略で、「反ファシスト運動」を意味する略語。」

言論の自由とは?

 

 

この記事の後半に、「表現の自由集会」という話が出てくる。この容疑者は事件のあったポートランドで、4月29日に開かれた「表現の自由」集会に参加している映像があるようだ。そこでは星条旗をマントにして、ナチス式の敬礼をしたりヘイトスピーチをぶちかましていたりしていた。その上ヘイトスピーチだらけだということで抗議に集まったリベラル派をバットで脅して、警察からバットを没収されている。

とにかく変人だ。

「フェイスブックでは、1995年のオクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件の主犯ティム・マクベイ元死刑囚(2001年に刑執行)を称賛し、ヒラリー・クリントン氏に対する殺害予告を投稿していた。

さらに容疑者はフェイスブックで、「もしドナルド・トランプがヒットラーの再来なら、俺はあの人の親衛隊に入る」と書いていた。

容疑者はさらに、昨年の大統領選で民主党候補指名をクリントン氏と争ったバーニー・サンダース上院議員も支持していた。

地元紙オレゴニアンによると、容疑者は2002年、強盗と小売店店長を誘拐した罪で有罪となっている。2010年には窃盗罪と、元服役囚には禁止されている銃器を所持していた罪で訴追された。」

どんな人物像を考えればいいのだ?

だがこの記事はさらに後半わけがわからなくなる。いやもうめんどくさいから最後半を全文引用する。

「ポートランドのテッド・ウィーラー市長は、大統領のツイートを歓迎する一方で、市内で今週末に予定されている「トランプ表現の自由集会」について、連邦政府に開催許可を撤回するよう呼びかけている。

市長は集会主催者が「憎しみのメッセージで金儲けしようと」していると批判。米国憲法はヘイトスピーチの権利を保障していないと、市長は主張している。

集会主催者はフェイスブックページでは、「西岸で最もリベラルな場所の一つ」でトランプ氏に「感謝する」とイベントだと書いている。音楽の生演奏や演説が予定されているという。

ウィーラー市長はさらに、6月10日に市内で予定される「反シャリア行進」の開催許可も撤回するよう連邦政府に要請した。「反シャリア」とは、米国の保守派の間で「反イスラム教徒」の意味で使われることが多い。

「私たちの街は喪に服している。住民は本当に怒っている。ただでさえ難しい状態になっているこの街で、こうしたタイミングとテーマで集会を開けば、事態は悪化するしかない」と市長は述べた。

保守系の人権団体「全米公民権組合(ACRU)」は市長を批判し、「抗議する参加者の視点を理由に政府が、集会の許可を撤回したり認めなかったりするのは許されない」とツイートした。」

 

 

この事件で考えることは、表現の自由はどこまで許されるのか、容疑者はとりあえず犯罪の領域にいた。そもそもいたのだ。

ヘイトスピーチからなんでも許されるような集会を有料で行なっていたとすれば、問題がある。大声でヘイトを叫び続けてそれが認められる場を作ることは、発言者をさらに偏らせる可能性がある。つまり犯罪者予備軍から金を取って、犯罪者を育成することになりかねないからだ。そしてなのだが何故かヘイトスピーチを叫ぶ人たちは暴力的になる。なのでリベラル派がいい放題いってもいいはずなのだが、喧嘩になるのがオチで、この場合も抗議デモしかできていない。容疑者がバットで脅迫するような極右とも呼べない集団になっているのだろう。

スポーツで一時期流行ったのにイメージトレーニングがある。勝った時のイメージを瞑想することでポジティブな感情をえて体も自由に動くと言うものだ。だが勝ったことがない人にはイメージが全くわかない。勝った後にウハウハの人生となれば壮大すぎて全く意味がない。勝った後に吉野家簿牛丼を食いまくると言うのはなかなかいいが、吉野家の牛丼が大好きで1日2食食っていた人でないと意味がない。吉牛断ちの苦痛をあえて受けたのでないといけない。いやこれは願掛けか。

ただ有効な方法があって、「勝つ」を声に出して連呼するのだ。実際に弱いのだがこれを連呼することでイメトレ効果がある。瞑想よりこちらが有効だ。できれば罵詈雑言の方がいい。それは心理学でも言われている。

罵詈雑言は自分を強くするのだ。

 

 

アメリカの場合は、正確に言えばアメリカの歴史の黒としか言えないインディアン虐殺やメキシコ戦争や、人をものとして扱った奴隷制度からの反省、それが生み出した様々な政策、特にアファーマティブアクションのような政策が、黒歴史を正当化したい人たちから圧倒的な抑圧に感じている。それが地涌な表現という名目でヘイトスピーチにつながってゆく。

叫び続けることで強化されていないか。

だがこの現象はなかなかに普遍的ではないのか?世界の右傾化の原因の一つかもしれない。

ただ表現の自由が保障されながら、叫ぶことが許されていないと言うのもどうかと思う。その意味で今を表象する事件だと思う。

世界中で人は追い詰められている。