「鶴岡みらい健康調査」は、慶應義塾大学先端生命科学研究所が開発したメタボローム解析技術を取り入れた予防医学の取組みとして、慶應先端研と地域の医療機関と市が平成24年度から協同でスタートしたものです。
この調査は、地域住民1万人の健康状態を中長期にわたって追跡し、がんや脳卒中などの発症に、生活習慣や体質的な要因がどのように関係しているかを解明し、将来の健康診断や地域の健康づくりに役立てていこうとする取り組みです。
はじめの3年間では、ベースライン調査として、本調査への協力者を募る取組みを進めてまいりました。市民の皆さんからご協力をいただき、目標である1万人を達成することができました。また、今年度からは、フォローアップ調査として、再度健康状態などを伺う追跡調査をスタートしています。
この健康調査を契機として、鶴岡地区医師会、鶴岡地区歯科医師会、鶴岡地区薬剤師会、慶應義塾大学先端生命科学研究所及び鶴岡市では、実行委員会体制を組み、本調査の活動状況や進捗状況、研究成果等をご紹介するとともに、健康情報も盛り込みながら、市民の皆さんと一緒に健康について考えるセミナーを開催しています。
4回目となります今回は、「がん予防最前線」と題た、セミナー開催しました。 日本人の2人に1人は一生のうちに一度はがんになる可能性があると言われております。日本人のがんの要因として、感染症以外では生活習慣が大きな割合を占めていると言われるように、がんを予防する手立てとして日頃の生活習慣の改善が注目されておりますし、また、検診技術の進歩によりがんの早期発見が可能になるなど、これからは、いかにがんを予防していくのかが課題であると思います。
セミナーでは、がん予防の研究においてご活躍しておられる先生方よりご講演を頂き、こらからのがん予防についてパネル討議を行いました。
プログラム
開会あいさつ 三原一郎
基調講演
「がんを予防するために」
愛知県がんセンター研究所 疫学・予防部 部長 田中秀夫氏
各種がんにおける、リスク因子について、分かりやすく解説
胃がん:ピロリ、塩分、たばこ
肺がん:たばこ、とくに酒が飲めない喫煙者のリスクが高い
大腸がん:肥満(BMI27.5以上)、コーヒー(3‐4杯程度)摂取、運動はリスクを下げる
乳がん:肥満、やせ、飲酒
肝がん:B、C型肝炎ウイルス検査陰性なら心配ない、陽性なら精密検査、治療できる時代
「乳がん予防研究の最前線から」
J-STARTの結果と乳がん検診の未来像
東北大学 乳癌画像診断学寄付講座准教授 鈴木 昭彦 氏
超音波検査とマンモグラフィーの併用により、とくに若年層の乳がん発見率が向上したというデータがでている。
「先端研の乳がんに関する研究~予防から治療戦略の確立~」
慶応義塾大学先端生命科学研究所 特任准教授 杉本 正弘 氏
だ液からのメタボローム解析で、すい臓がんなどの早期発見が可能になる
パネル討議
これからのがん予防
閉会のさいさつ
慶応義塾大学先端生命科学研究所 所長 富田 勝 氏
IABの一年として、すばらしい成果の数々と鶴岡サイエンスパークの建設予定についてお話頂きました。