鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

クリニカルパス教育セミナー2016

2016-09-13 11:52:05 | 日記
福島で開催されたクリニカルパス教育セミナーに参加してきました。

このセミナーは、東京と大阪で毎年行われてきましたが、昨年度から東北(前回は仙台)でも開催されています。

4名の高名な講師の先生方から、クリニカルパスの基本を学びました。


<クリニカルパスの定義>

 患者状態と診療行為の目標、および評価・記録をふくむ標準診療計画であり、
 標準からの偏移を分析することで医療の質を改善する手法

目標をアウトカム、標準からの偏移をバリアンスと呼びます。

大腿骨骨折の例で説明すると(吹矢先生の講演から)

 最終目標(最終アウトカム)は、設定日までに手すりを利用して2階まで昇降ができる
 
  ↑

 中間達成目標(中間アウトカム):設定日までに一本杖で平地歩行が50メートルできる

  ↑
 
 中間達成目標(中間アウトカム):設定日までに平行棒内歩行が5往復できる

  ↑

 中間達成目標(中間アウトカム):設定日までに理学療法室でリハビリができる


 理学療法室でリハビリができるためには
 
   車椅子に乗車できる
   感染兆候がない (熱が27℃以下、創部に発赤がない、創部から浸出液がない)

  という中間アウトカムを達成する必要である 

 という風に、最終目標を達成するための中間目標を設定し、目標に沿って治療・ケアを進めていきます。

 一方で未達成の場合をバリアンスと呼び、バリアンスを分析することで、パスの妥当性を検証するなどし、
 より質の高いパスへ改訂し、治療やケアの質をあげていくこと可能となります。

 なお、中間目標をクリニカルインディケーターと呼びます。


<パスの基本原則>(今田先生の講演会から)

 1、アウトカムがなければパスではない。

 2、標準プランと比較しながら、医療ケアを進めなければパス医療ではない

 3、パスの使用検討 分析・改善がなければ、パス医療ではない

 *パスは単なる治療や検査の計画表(オーダーセット)ではありません。

という風なこと学びました。

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日本クリニカルパス学会 クリニカルパス教育セミナー(福島)
日時:2016年9月10日 13:00
場所:福島県文化センター 小ホール
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出席:280名




講演


〇アウトカム志向のパス運用と記録
 吹矢三恵子(福井総合病院)




〇パスの後利用 ~どの病院でもできる!パスの分析と改善~
 今田 光一 (高岡整志会病院)




〇気楽にできる院内パス活動
 山中 英治 (若草第一病院)





〇特別講演:クリニカルパスの進歩 -電子化から連携までー
 副島 秀久(済生会熊本病院)



総合討論


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