庄内医療情報ネットワーク協議会主催の特別講演会が開催されましたので報告します。
特別公演は、佐渡総合病院院長の佐藤賢治先生にお願いしました。
医療にしろ、介護にしろ、行政にしろ、目的は「地域住民の生活」であるという確固たる信念のもと、10年以上にわたり、佐渡島という比較的閉ざされた地域でITを活用した地域医療に取り組んでいます。活動内容は多岐にわたりますが、地域医療のあるべき姿への挑戦と感じました。
以下、当日のプログラムです。
私からは、報告として20数年にわたるNet4Uの利活用をデータとともに報告させて頂きました。
1、開会、あいさつ
庄内医療情報ネットワーク協議会 会長 福原晶子
2、報告
「当地区におけるITネットワークの現状」
鶴岡地区医師会理事 三原一郎
3、特別講演
座長 鶴岡市立荘内病院 病院長 鈴木 聡
「ICTを利用した医療福祉連携への取り組み」
佐渡総合病院 病院長 佐藤賢治
4,閉会、あいさつ
庄内医療情報ネットワーク協議会 副会長 佐藤 顕
「ICTを利用した医療福祉連携への取り組み」
佐渡総合病院 病院長 佐藤賢治
行政・医療・介護・福祉の目的は「地域住民の生活」である。
社会保障のサプライチェーン
医療福祉従事者が活動する空間は前後のつながりの中で存在する。
社会保障の需要
ライフステージにより支援主役が変化
高齢化ほど需要が高まる
産科・小児科にアクセスできない地域は「限界集落」
情報の共有と伝達をどうしているのか?
情報源:
住民からの聴取、紹介状、情報提供書、お薬手帳、
入院時徐放提供書、退院支援計画書、退院時情報提供書、地域連携パス
伝達手段:
紙、電話、FAX
医療福祉に特化したコミュニケーションツール
医療情報ネットワーク、PHR
患者フローマネジメント、入退院支援室、患者サポートセンター
しかし
情報の内容、精度、迅速性?
コストはどこまで許容できるのか?
医療情報より、生活情報がより重要ではないか?
協働・連携を拒む「専門化」
専門特化「他を診なくてよい」意識を助長する
連携されない専門特化は、「隙間」を増やす機能分断に陥り専門外を遮断する
協働・連携を拒む「ローカルルール」
超少子高齢化社会では、多施設・多職種の協働・連携が必要だが、
施設でのローカルルールが地域の協働・連携の齟齬に繋がる
協働・連携を拒む「資源不足」
生産年齢・小児人口が減少する中、増員は望めず、収益源・費用増は加速する
収支バランスの悪化と要因の減少を前提に、機能・役割の見直しは避けられない
協働・連携を拒む「コミュニケーションエラー」
コミュニケーションは「意図的」かつ「能動的」な行動であり、
行動なしにコミュニケーションは生まれない
佐渡の取り組み
対策の基本概念
住民情報の共有 「さどひまわりネット」
住民の状態に適合する担当施設の調整 「資源適正化支援システム」
分担機能を活用し連携を実現する人材の育成 「佐渡職種別研修プログラム」
さとひまわりネット
病院、診療所・歯科、薬局、介護施設、検査業者、健診業者の収集端末から
さどひまわりネットデータセンターへ情報を集約
集約されたデータを医療施設、薬局、介護施設、ケアマネ、行政間で共有
参照型EHRから提案型EHRへの試み
10年、17000人の蓄積された医療情報データの分析から予測・判定モデルを開発
連携のための適切な情報の共有と伝達
生活情報の共有
資源適正化支援システム:施設機能の共有と調整
個別化したデータに基づく健康寿命延伸を実現するモデル事業 SOLVE for SDGs
フレイルを早期発見し、住民・医療福祉事業者双方が適切な行動につがなる
モデルの構築
連携を実践するのは医療従事者自身
連携を実現する人材育成:研修プログラム
多職種に向けた講演会
人材の育成:佐渡に未来を学ぶ環境をつくる