先週放映されたNHKスペシャル「アルツハイマー病をくい止めろ!」、ご覧になった方も多いかと思いますが、私にとっては、まさに目から鱗の内容でした。復習を込めて、概要をまとめておきます。
NHK健康ホームページ
http://www.nhk.or.jp/kenko/n_special/
・DIAN研究
アメリカ・ワシントン大学を中心としたドイツ、イギリス、オーストラリアが参加した国際研究。
遺伝子の働きで高い確率で発症する「家族性アルツハイマー病」の家族の協力を得て進められている。
300人以上が参加。
発症前から、脳の画像、遺伝子、血液などの変化を経時的に徹底的に検査。
成果として、発症25年前から、脳に異変(「アミロイドβ」の増加)が始まり、
その後発症15年前から「タウ」や「海馬の萎縮」が起こることが明らかになった。
タウ:神経細胞内に沈着し、とくに海馬の神経細胞を破壊する
・あたらなる治療薬 LMTX
イギリスで治験が行われている
タウを分解する薬、発症後の患者に投与し、効果がみられている
治験は最終段階、現在 被検者1300人を対象とし、効果と安全性の確認を行っている
一方で、過去に、アルツハイマー薬の101が、その開発に失敗している
結果は、2年後
・G8認知症サミット
患者の増加は、経済も影響するとの危機感
急増に直面するのは日本
462万人 7割がアルツハイマー型
1000万人を突破する
・運動による海馬の萎縮予防プログラム
国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)が開発、
有酸素運動をしながら、同時に脳に負荷をかけるプログラム
海馬を鍛えて、委縮するのを防ぐ (もっとも効果がたかい)
発症5年前 MCI(軽度認知症障害)に効果、
MCI:400万人、8人にひとり、認知症発症率50%
認知機能を簡単な検査で点数化 MCI疑いの人を抽出
認知症予防プログラム
頭(計算、しりとり)を使いながらの運動、週1回 90分
運動療法後海馬にあらたな神経細胞の再生、神経細胞の活性化がみられた
1年後、脳の萎縮の進行がとまる、記憶、年相応へ改善する。
・九州大学 久山町研究所
なぜ、認知症が増えるのか
町民4000人、50年にわたるコホート研究
認知症増加の背景:ライススタイルの変化、とくに食事 糖代謝異常
食生活の欧米化、動物性脂肪の摂取、生活習慣の変化
・睡眠の質とアミロイドβ沈着の関係
ワシントン大学
睡眠の質と髄液からのアミロイドβ量を計測
寝ている間に、アミロドβを排出する。
睡眠の質を高く保つことがアミロドβの沈着を防ぐことにつながる
・アミロドβを取り除く薬:ガンテネルマブ
アミロドβは、発症後は減少する
したがって、発症後に投与しても効果は限定的
家族性アルツハイマー病(まだ、発症していない214人)を治験対象に現在治験中
最初の結果ができるのは2年後