前回同様新入社員研修でのこと。
「売り」の一つでもある「本気演習」
7~8人をグループにして
「思いっきり笑顔で」
「思いっきり大きな声で」
「キビキビ・テキパキ・ハキハキ」
「姿勢よく」「身だしなみを整えて」「お辞儀の角度と速度を揃えて」
チェックテストにチャレンジしてもらう。
感じよく上品にとは真逆の、
「もうこれ以上無理でっせ~」
というぐらいの声を出し、
汗をかきかき腕まくりで、顔をくちゃくちゃにしながら必死のパッ
チで講師からの挑戦状に挑み続ける
グループメンバー全員が講師の基準(=他者評価)で
OK(=合格)になるまでただひたすら声を出し、笑顔を作り、
姿勢を正し、お辞儀の角度とスピードを合わせる・・・・。
メンバーのうち一人でも駄目なメンバーがいれば ダメ
たくさんあるチェック項目のうちどこか一つでも駄目なら ダメダメ
一人でも本気でないメンバーがいたら ダメダメダメ
容赦なく
はい、だめ~
BOO~
最初よそよそしいメンバー達が、何度も駄目だしをしているうちに、それぞれ
の本気が出てくる。遠慮しながらの指摘が的を得た具体的な指摘になり、
どうすればお辞儀の角度やスピードが合うかに対してアイデアが次々に
出てくる。
講師の役割は、妥協せずダメ出しを続けていかにメンバー達を本気にする
ことこれにつきる
グループ全員の本気が一つになった時、評価者である講師の心が動く
OK
ただ、講師とて人間。何度も何度も駄目だしを続けていると、ふとおまけしたくなる
ことがある。
ほとんどの場合、この「おまけ」の気持ちはいい場面では芽生えない。
おまけ=もうこれぐらいにしといたろか・・・(という妥協)
=これ以上無理やろ・・・(というあきらめ。決めつけ)
いずれにしても教育に携わる者として好ましくない。
今年もいた。ある団体の新入社員研修でのこと。
べっぴんさんでおしゃれな雰囲気の彼女。
表情がなく、恥ずかしいからなのかなかなか声が出ない。
いや、出ないのではなく出そうとしない。駄目出しをするとふてくされた
顔や態度をとる。何度やらせても改善が見られない・・・。予定の終了
時間は近づく・・・。
もうええっかな・・・。こんなもんにしといたろかな・・・。これ以上やらせたら
可哀そうやもんな・・・。
妥協してOKをだしてしまいそうになった。
でも、こちらがあきらめたら負け。もう一回だけ!と心に決めて、
駄目~!全然声大きなってな~いもう一回~。もっと出る
最後、まだまだ小さいながら「彼女なりの精いっぱいの声」が出た。
きれいな顔が「ちょっとだけくちゃくちゃになった」
あきらめなくてよかった・・・・。講師も自分と戦っている。
かわいそう・・・
講師が抱いてはいけない気持ちの一つ。「かわいそう」と思った時点で、
上から目線。そこに受講生の可能性を信じて成長をサポートしようとしよう
うとする気持ちはない。
その根底には、相手をなんとかして本気にしようと「本気」になる気持ちはなく
何度も駄目だしをして「いじわるばばぁ」と思われる自分から逃げようとするずる
い自分がいるだけ・・・・。
逃げずによかった・・・。
中村でした。