多元的全体食のすすめ(十) 食べ物研究家 五十嵐玲二談
10. 人はどのように形成されるのか
「その人を知るには、彼の書斎の本棚をみれば、人となりがわかる」
これは、その人が読んできた本によって、人間が形成されると言ってます。人は名著によって、感動を受け、触発されてわずかではありますが、前進します。しかし長い人生に於いては、目に見える差を生ずるのかもしれません。
本は、時間と空間を越えて、その著者が描く世界に導かれて、会話をすることを可能にします。私たちは、自分がまったく知らない科学技術の分野についても、書籍を通して分け入ることも可能です。
「その人の友人をみれば、その人がわかる」
友人は、少なくて良いのですが、「類は友を呼ぶ」と言いますが、友人の影響は少なからず受けるものです。理想としては、お互いに高め合う関係で、敬意を払い合うなかでありたいものです。でも友人でも、伴侶でもなかなかに難しいもので、それでいてある距離感も必要な気がします。
「あなたの病気も健康も日々の食事の積み重ねの結果である」(水野南北)
水野南北は、大阪阿波座に生まれたが、幼くして両親を亡くし鍛冶屋をしていた叔父夫婦に育てられる。子供の頃より盗み酒を覚え、酒代に窮して叔父の稼ぎ集めた虎の子を持ち逃げし、天満で酒と博打と喧嘩に明け暮れ、家業の鍛冶職錠前造りから「鍵屋熊太」と呼ばれる無頼の徒となった。
刃傷沙汰を繰り返し、十八歳頃、酒代欲しさに悪事をはたらき、天満の牢屋に入れられる。牢内で人相と人の運命に相関関係があることに気づき観想に感心を持つようになる。
出牢後、人相見から顔に死相が出ていると言われ、運命転換のため、慈雲山端竜寺に出家を願い出たところ、「半年間、麦と大豆だけの食事が続けられたら弟子にする」といわれ、堂島川で川仲仕をしながら言われた通り麦と大豆だけの食事を続けたところ、顔から死相消えたばかりでなく、運勢が改善してしまった。
こうした体験から観相学に興味を持ち、髪結い床の小僧を三年勤め頭の相を研究し、湯屋の三助を三年間で体の研究をし、火葬場のを三年やり、死者の骨相を研究した。(Wikipediaより)
さらには、神道、儒教、仏教を研究し、観相学によって人相を占ってきたが、ただ人相のみで判断すると、お金ができ出世し長生きする相の人が、貧乏で若死にしたりで中々当たらぬことが多く残念に思っていた。
『 処が或る日、ふと食物が大事ではと気付き、人の運・不運寿命は、みな食べ物、飲み物を慎むか、慎まないかによって決まるのではあるまいかと試してみた。
それから、人を占うのに先ずその人の飲食の様子を聞いて、そして人相を観たところ当たるようになった。人間の一生の吉凶はみな只その人の飲食による。
命のある間はどんな人にも運がある。朝早くから起きて毎日の仕事に精を出しその上に飲食を慎んで怠らなければ、自然に天理にかなって、運は段々開けてくる。これを開運という。 』 このように水野南北は述べてます。
人間が、食物によって生きていることは間違いなく、とくに母親の食事は大切です。環境ホルモンに関するもの、PCB、ダイオキシン、有機スズ、枯葉剤などは、妊娠中や母乳から子供の体内にも蓄積します。母親の妊娠中の喫煙、過度のアルコールについても、充分な配慮が必要です。
食物をよく噛んで、食べることは、食物を消化するために大切なことです。このためには、歯の健康をたもち、あごの筋肉の噛む力を保つことも必要です。
胃腸の健康のために、発酵食品を十分にとって、腸内細菌を良い状態に保つことも重要です。日本人は、漬物、みそ汁、納豆、飯寿司などによって、酵母菌、乳酸菌、納豆菌、酢酸菌、麹菌をとることで腸内の健康を守ってきました。
生物は、口と腸と肛門の3つがあれば、成立し、動物はイソギンチャクのようなものから、進化して他の器官は、後から創られたと考えられます。私たちは、胃腸の調子が悪いと気持ちも沈み、胃腸の調子が良いと気持ちも明るくなるものです。
私たちは、食事に感謝し、よく噛んで食べ、清い水を飲み、自分の仕事や趣味を一生懸命に行っていると、何かが得られるのではないでしょうか。 (第10回)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます