チェロ弾きの哲学ノート

徒然に日々想い浮かんだ断片を書きます。

好き嫌いと味覚の偏向

2016-05-26 13:50:02 | 選択

 多元的全体食のすすめ(九)    食べ物研究家  五十嵐玲二談

 9. 好き嫌いと味覚の偏向

 人間の味の好みに関する発達は、母親の胎内にいる時から始まります。胎児は羊水を通じて、母親が摂取した食物の風味や匂いを感じます。そして生まれたあとも、母乳を通じて風味を感知します。

 つまり果物や野菜が嫌いな子どもにしないためには、妊娠中や授乳期間中に母親が積極的に果物や野菜を食べることが望ましいといえます。さらに、家族全員の健全な食事や食育によって、子どもの好き嫌いをなくすことも大切です。


 縄文時代から、昭和の中頃まで、甘さと、脂肪分とアルコール(お酒)は非常に貴重品であった。このため人類は滅多に口にはいるものではなかった。そのためにこれらを食べ過ぎることは、一部の富裕な人に限られていました。

 本来、味覚は自分の体が必要としている、栄養素を含む食べ物を選択するはずが、現代では、糖分と脂肪分とアルコール(お酒)という嗜好性の強いものに偏向している。

 甘さに於いては、蜂蜜や黒砂糖のように、ビタミンやミネラルを含んで、栄養的にほぼ完結していれば、良いのですが、完全に精製した白砂糖は、味覚とカロリーにのみ偏向しており、肥満や糖尿病を誘発する。

 特にお菓子として、工場で製造するものに、白砂糖で造ることは子どもたちの未来を奪いかねない、赤砂糖(ブラウンシュガー)を使うべきです。家庭でも、白砂糖ではなく赤砂糖を使うべきです。(これは私の主張ですが、世間からは無視されてます)

 キューバでの砂糖の配給は、赤砂糖と白砂糖を半々に配給することによって、健康に配慮しているそうです。


 脂肪分についても、魚に皮と身の間にある脂肪分や、胡麻和えのゴマの脂肪分などは、栄養的にも完結していて良いものですが、揚げ物やバターを取り過ぎること、ビタミンやミネラル分の不足した、味覚の偏向は好ましいものではありません。

 大切な食事の折には、アルコール(お酒)は食事を美味しくして、さらに楽しいものにします。しかし、お酒の飲む量と時間を自分でコントロールしなくてはなりません。

 アルコールは、その量を飲むのではなく、より少ない量で楽しむことを心がけなければなりません。昔はお酒を飲む機会も少なく貴重品でしたから、お客さんに勧めるのが礼儀でした。

 しかし、現在は、アルコールの許容量に大きな差があるため、人にお酒を勧めるのは最小限にすべきです。ましてや一気飲みは、殺人行為になる可能性がありますので注意が必要です。

 お酒は、大きく分けてビール、ワイン、日本酒、蒸留酒がありますが、これらを飲む時間、その飲む量をコントロールしながら、料理にとの相性を考えて、楽しみたいものです。

 脂肪分も、アルコール同様に、美味しさにつられて、量を食べ過ぎるのは、肥満につながります。上手に良質の脂肪分を大切に食べることによって、食生活はより豊かなものになります。

 旬の野菜の甘みや、季節の魚の脂身や、ほのかな野菜の苦みなどの美味しさを楽しみたいものです。(第9回)


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