120. チャンスと選択肢と投資について (五十嵐玲二談 2016年12月)
チャンスと選択肢と投資の三つに共通していることは、現在の行為が、未来に於いて何らかの結果を生じることです。ここで、まずこれらの言葉を本稿での意味を定義しておきます。
◎ チャンス(Chance)は、運、機会、好機などで、本来の意味と同じです。この運、機会、好機の中には、常に変化していて、それを逃したら、チャンスは、消えてなくなる危険性を孕んでいることです。
◎ 投資(Investment)は、一般には、経済用語で、企業が資本を投下して、事業を行うことを指します。ここでは、個人が時間と労力を傾けるすべての行為を投資と考えます。
例えば、朝の5分間の体操を、自分で考え、実行し、一か月後、半年後、1年後とその成果を観察することも、一つの投資と捉えます。もちろん、50万円で、上場企業の株を買うことも、定期貯金をすることも、投資です。
貯金も立派な投資です。預金の利息はもちろん変動しますし、円が外国の通貨や、金(ゴールド)についても変動します。一つの例として英国の通貨ポンドとのレートについて、見てみましょう。
大英帝国時代のポンドは固定相場で、1ポンド=1008円の固定相場時代が、1967年の11月まで続きます。(今の物価に換算すると1ポンド=4,5千円です。) 1967年11月にウイルソンにより、1ポンド=864円に切り下がります。
1971年8月にアメリカのニクソンショックにより、変動相場制に移行します。1980年には、1ポンド=500円前後に。1990年には、1ポンド225円前後、2000年には、1ポンド=170円前後、2010年には、1ポンド=130円前後となります。
現在、2016年12月現在は、1ポンド=145円前後です。ここで私が言いたいことは、未来という時間軸に対して、すべては変化していることを、知ってもらいたかったのです。さらには、政治形態やモラルさえも、大きく変化します。
◎ 選択肢(Choose又はSelect)という言葉は、最も誤解されている言葉です。その元は、学校教育に於ける、選択問題であると、私は考えます。選択問題の答えはすでに存在し、この選択肢は、変化しません。
しかしながら、現実の問題に於いては、答えは用意されてません、さらにどこに正解あったのかは、神のみぞ知ることです。現実の選択肢は、自分で用意しますが、その選択肢の結果は、選択するタイミングによっても、結果は異なるものです。
選択肢には、タグが付いているわけでもなく、自分がいくつかの道のひとつを、選んだ結果、存在するものです。その選択肢の範囲は、昼食に何を食べるか、から結婚相手の選択から、これからどう生きるべきかという選択まで、広く漠然としたものです。
チャンスには、以下の特徴があります。
① チャンスは、そのチャンスが自分の側に来た時は、気がつかず、そのチャンスが消え去った時、人は始めて気づくものです。
② チャンスは、来る時は、不思議に重なるものです。なぜか運気があがっている時に、チャンスが重なるからなのかもしれません。
③ チャンスは、棚ぼた式に来るものではなく、むしろ本人の努力によって引き込むものです。
④ チャンスは、掴み取るものではなく、むしろ、チャンスは育むものです。
⑤ ちょっと気づかない小さなチャンスを見逃すことなく、そのチャンスを自分のものにすることは、大切なことです。
⑥ チャンスのように見えても、実は落し穴という場合もあります。チャンスをものにするには慎重さと大胆さが必要です。
選択は、切羽詰まって、一か八かの選択は、必ず破れます。選択はゆとりをもって、選択の巾を持って、選択肢を自分で考えて、用意すべきです。
すなわち、選択の自由度が高まるように、選択肢を準備すべきです。世の中の動向、自分の現状も常に変化し、未来の状況に対応した、選択をすることが、重要です。
選択の巾を狭めることは、得策ではありません。戦場に於いては退路を断つことも必要かもしれませんが、日常に於いては、選択の自由度を高めるべきです。
自分の労力を集中させるために、針路を決めることは必要ですが、それでも選択の自由度は確保すべきです。それでは選択の自由度を上げるためには、どうすべきでしょうか。
① 知的自由度を高める。
様々な角度から、工夫して選択肢をたくさん用意することです。そのために知識や知恵を動員して、紙の上に書きまくるのも、一つの方法です。
② 経済的自由度を高める。
経済的に安定性を高め、さらには経済的拘束をゆるくする。まず種銭を作って、わずかでも利益が得られる仕掛けを工夫する(このとき出費を抑える)。個人でも企業でも、損益分岐点を意識することは、大切です。
③ 時間的自由度を高める。
あせって、物事を行っても、良い結果は得られません。時間的に余裕があるうちに、決定することです。仕掛けや投資を工夫して、時間を自分の味方につけることです。
④ 身体的健康度を高める。
柔軟な体と前向きな心を持って、積極的選択肢を用意し、楽しくくらすことを心がける。
⑤ 人間的自由度を高める。
様々な分野のすぐれた人たちと自由に会話する選択肢を工夫する。本を読んですぐれた人の足跡や思想を学ぶ。
⑥ 空間的自由度を高める。
自分を生かす様々な場面に、選択肢を想定し、空間をより自由に自分の味方に引き込む。
⑦ 思考の自由度を高める。
自然科学、科学技術、芸術、宗教、政治経済、歴史、……すべての分野について、自由に選択肢を工夫して、それぞれのすぐれた思考方法を自分の知恵として活用する。
仕掛け(仕組み、ビジネスモデル)を組み立てて、そこに用意された選択肢の中から、どれかを選択(決断)して、投資します。このときから、マイルドストーンに従って、その効果を測定します。
その効果が測定可能なものは良いのですが、測定不能なものは、自分の満足度で判定します。仕掛けは事前にシュミレーションを行いますが、現実に投資してみると、予想通りにはいかないものです。
この仕掛けや仕組みやビジネスモデルは、自分で何度も経験して、改良して精度を高めるしかありません。そのためには、いきなり大きなリスク(損失)が、予想される投資は避けるべきです。
そのためには、丁寧に、小さな仕掛けや小さな投資を積み重ねて、精度を高めて、リスクを最小限にする努力はすべきです。負けない(リスクのない)投資は、理想ですが、現実には、予想外のリスクは発生するものです。
そして、その投資が、想定したマイルドストーンと比較して、続行するか、断念するかの決断をしなくてはなりません。投資に於いては、利益が得られるか、リスクが発生するかは、解かりません。
しかし、その仕掛けや仕組みやビジネスモデルの中に、自分での意義や自分の興味を発見できれば、成功する確率が高まると考えられます。
最後に、人の人生のどの地点にいるかで、仕掛けや選択肢や投資についての考え方も異なってきます。私が勝手に人の一生を七つの期に分類します。
① 0歳~14歳 幼年・少年期。
近年は長寿であるため、15年を一区切りとし、幼児期を含めて少年期とします。
② 15歳~29歳 青年期。
青年時代は、時代の流れで、青年期は、一昔前に比べて長くなったと感じます。
③ 30歳~44歳 成年期。
選挙権や成人式は、20歳までに完了してますが、この期間が成年期だと考えます。
④ 45歳~59歳 壮年期。
論語では、40にして、惑わずと言ってますが、広辞苑で壮年とは、血気盛んで、働き盛りとあります。
⑤ 60歳~74歳 熟年期。
広辞苑では、人生の経験を積み、円熟したとあります。私は70歳なので、熟年です。
⑥ 75歳~89歳 老年期。
後期高齢者で、初めて老年期です。年輪を重ねて、ますます充実した実績を上げている人がたくさんいます。
⑦ 90歳~104歳 終末期。
日本人の平均寿命は、83.7歳だそうです。すでに70歳まで、生きた人は90歳を超えて生きなければなりません。自分で食事をし、自分の足で歩き、自分の頭で考え、充実した人生を送りたいものです。 (第119回)
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