90まではゴルフをやる。
東京オリンピックを見に行く。
100まで元気で生きる。
そんな未来像を描いていたGオさんが、突然亡くなり、未亡人になったBこさん。
それまで、Gオさんがいないと何もできない、なんでもGオさんに頼り切って生きている。
だれもがそう思っていました。
先に元気なGオさんが逝ってしまうなんて考えもせず、Bこさんだけ残されると言う事は、正直想像が付かなかった。
きっと、頼りのGオさんがいなくなったら、さぞかし悲嘆にくれてと誰もが思った。
ところが、
皆の心配をよそに、
もちろん、腰椎圧迫骨折というアクシデントはあったが、
すこぶる 元気。
以前のように、食が細く、何を出しても半分は残すということもなく、3食完食。間食もしっかり食べる。
出されたものを以前は何かにつけて一言あったが、今は「ありがとう」と言って、食べる。
以前は、人にけちをつけることはあっても、素直に「ありがとう」とは、言えなかった。
でも、今は日に日に「ありがとう」の数は増え、今は「ありがとう」の大雨状態なのだ。
何をしても「ありがとう」
ありがとありがと
ありがとね
お世話様
ありがとありがと
こちらも、以前はグチグチ言われるのが嫌だった。
「痛い」とか、「ここがどうだこうだ」と言う話は「又始まった」と思って、避けていた。
けれども、今は、向こうも静かに話すし、こちらも聞く耳がある。
今までの上から目線の「○○してもらおうか」がなくなり、
「悪いけど、どこそこに行きたいけど、連れて行ってくれる?」
「ここが、こうなんだけど、どうしたらいい?」
と聞き、
こちらも、Bこさん目線で考えられるようになり、
と、いろいろ気が付いた。
見えてくることが沢山あった。
Bこさんが、かわいいおばあちゃんになり、今までは我儘で困ったおばあちゃんにしか思えなかったが、いろいろ頑張っているおばあちゃんに思えてきた。
すると、気負いなく、自然に手を添えることができるようになってきた。
すると、Bこさん、ますます、
「ありがと」の雨あられになった。
いつも、眉間にしわを寄せていたのに、にこにこした、かわいいおばあちゃんになった。
今まで体つきもぎすぎすして、神経質というか、燗が強いと言うかが現れている感じだったが、ちょっと太って、ますます、かわいくなった。
かわいい、おばあちゃんになった。