友人に進められて「ファントム・スレッド」を観た。
1950年代のロンドンを舞台に、貴族や王族の顧客を持つ天才的、かつ超完璧主義なエゴイスト仕立屋レイノルズと、彼にとって”完璧な身体”を持つウェイトレスアルマ。
彼が執着するのは”ミューズとして”の彼女。”完璧な身体”を愛し、彼女をモデルに昼夜問わず取り憑かれたようにドレスを作り続けるレイノルズ。
一方、彼の元で日増しに美しさを増すアルマは、ミューズではなく”愛情の対象”として認めて欲しい、彼を自分の“愛”の下に置きたいと強く思う。
ある日彼女は彼の食事に毒キノコを入れて、他人をシャットアウトして看護に専念する。。。
”愛”のキャスティングボードを握るのはどっちか。。。?
最初のシーンで、アルマがインタビューに答える。
ーレイノルズは私の夢を叶えてくれた。私も彼がもっとも望むものを与えた
ーそれは何?
ーAll Parts Of Me(私のすべてよ)
冒頭に、古い名曲「Fools Rush In」がゆったりしたテンポで流れるが、全体に流れる雰囲気が、まさにこの曲のタイトルとシンクロしているように思えた。
(因みに、Fools Rush Inとは”天使も恐れるところへ愚者は踏み込む、ばか者は怖いものを知らない”といった意味のことわざ。らしい)
エレガントで美しいドレス、それを一針一針慈しむように仕立てる白衣を着た縫い子さん達、天才仕立屋の美意識の強さ厳しさ、螺旋階段を上がっていく自宅兼アトリエの建物の様子。。。華やかなオートクチュールの裏側でもあるシーンはどれを見ても感歎!
第90回アカデミー賞6部門にノミネートされ、衣装デザイン賞を受賞。ゴールデングローブ賞では主演男優賞と作曲賞にノミネートされたポール・トーマス・アンダーソン監督作品。
主演のダニエル・デイ=ルイス、姉のシリル役のレスリー・マンデル、アルマ役のヴィッキー・クリープスと、英国で活躍する3人の俳優も素晴らしく、静かで厳しく、それでいて優しい、美しく妖艶な世界にうっとり。。でありました。
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