同居している母のことだが今年の10月で93歳になる。子の立場として長生きしてくれるのはうれしいが、最近どうも認知症が進んできて、ありもしないような”とりとめ”のないことを言い出して困っている。
家の中に小さな子供がウロウロするとか、二階に人が住んでいるのでご飯を持っていきなさいとかの他愛もない話。
どうやら幻覚症状が出てきているので、週一回のデイケアに通っている担当のケアマネージャーに相談したところ、施設に入れるにしろその前に専門医に見せた方がいいとのこと。
そこで8月18日〔火)の午前中、家内と一緒に母を医院に連れて行って半日がかりで検査や面談を行った。実に優しくてソフトな壮年のお医者さんで人の気を逸らさない方だった。
その結果、まだ他人との会話はできるのでとりあえず薬を飲んで様子をみましょうという事になった。
毎朝1錠服用ということでくれたのが「セロクエル25mg錠」という薬。不安や興奮などの精神症状を改善するという。
翌日の19日、早速1錠を朝食後に飲ませたところ、即効性の薬のようでなんだか気弱なことを言い出したと思ったらすぐにバタンキューとなってしまった。
さあ、それからが大変、ベッドに運んだところ昏睡状態になって昼食時になっても目を覚まそうとしない。この暑い時期なので汗をかいて水分が蒸発すれば血液の流れが悪くなるので無理やり起こして水分を補給するもそれが済むとまた寝入ってしまう。
夕方になっても食事を取らず同じ状態が続くので心配になって専門医に電話相談したところ、これからは興奮状態になったときだけ半錠服用するようにしましょうということになった。
結局、正気に戻ったのは翌朝の4時前後のことだったが、痩せて小柄な老人に薬がこれほど効くとは驚きだったが、とにかくこのまま植物人間になるのではと心配した大騒動の一幕だった。
さて、次はオーディオの話。
先日の13日〔木)に数年ぶりにお見えになったO江さん。すっかり我が家の音にピタリとはまられたようで、18日の午後に新たにお二人のオーディオ愛好家を連れて見えられた。
Y口さんとM山さんでともに大分市にお住まいの方。これまでもちょくちょく来られた方だが、今回はO江さんが是非にと誘われた模様。
直前の電話で「念のためお伺いしますがシステムは13日のときから一切変えてないですよね」「もちろん、O江さんがお見えになったときから全然いじってませんよ~」と即答。
ところが、この「全然いじってませんよ~」という言葉が後になって物議を醸すのだから世の中”ゆめゆめ”油断は出来ない。
さて、3人がお見えになって早速試聴にはいったところ、O江さんが「この前とは音が違っていますね、どこか変えましたね」と断定的におっしゃる。
「そうですね、裏蓋の中の吸音材の量を加減したり、SP周りの夾雑物を取り除いたりしてスッキリさせましたけど~」。別に機器を入れ替えたわけでもなし、このくらいの変更は変えたうちに入らないと自分は当然思っている。
「それが悪いんです。いい音が出ているときは極端に言えばSPの前のゴミ一つでも取ったら音は変わるんです!」
「ヒェーッ」。
まったく驚いたねえ~。自分もオーディオに関しては結構、粘着気質に輪をかけたようなデリケートさを自認しているほうだが、とてもO江さんの足元には及ばないことがよく分かった。
しかし、いくら”いい音”の状態でも金科玉条のようにしてそれを守るだけというのもどうだろうか。やはり、ものごとにはすべからく柔軟性が必要だしチャレンジなくして進歩はありえないとも思うのだが・・・。
ただし、自分にも経験があって、他家の音が随分気に入ってうらやましくてたまらないのに、その方はアッサリと見限って簡単に機器を入れ替えられることを度々見聞してきた。音は感性の世界なので一人ひとり違って当たり前だと割り切ってしまうのは簡単だがなんだか惜しい気もするところ。
さて今日のところはアナログ派のM山さんなんかが「CDでこれだけの音が出るとは」と舌を巻かれたご様子で「この音で十分だ」と援護射撃をしてくれたおかげで最後の方は、「まあ一長一短だ」とご機嫌を直してくれたO江さんだが、オーディオに対する考え方の違いをまざまざと認識した試聴会だった。
オーディオの世界は他人の意見を虚心坦懐に聞くのも必要だが、よほど自分をしっかりしておかないとすぐに流されてしまう危険性があるので「用心、用心」。